(ブルームバーグ):通常の基準で見れば、エヌビディアの業績は好調だ。同社が25日に示した2025年11月―26年1月(第4四半期)決算と2-4月(第1四半期)の見通しは、一部を除きほぼ全ての市場予想と一致するか、それを上回った。
これで十分といえるかもしれない。だが、時価総額で世界最大、そして世界経済を揺るがしかねないテクノロジー業界最大級のトレンドの中心にある企業となれば話は別だ。前四半期と同様、エヌビディア株は決算発表直後に上昇したものの、その後急速に反転し、マイナス圏に沈んだ。
こうした株価の反転は通常、アナリストや投資家が数字を精査して隠れた問題を見つけた場合や、経営幹部が電話会見で不用意な発言をして信頼を損なった場合に起きる。
だがジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)とコレット・クレス最高財務責任者(CFO)は、人工知能(AI)向け計算能力への巨額投資を巡るあらゆる疑問や懸念を見越した、隙のない説明を行った。さらに、急速な成長ぶりを改めて印象付ける新たな切り口さえ示した。
第4四半期の売上高の伸びは73%に加速。この水準では減速は避けられないとの見方もあったが、それを覆した。データセンター部門は、「ChatGPT」が登場したエヌビディアの2023会計年度と比べて13倍の規模に拡大している。同社が示した5000億ドル(約78兆円)という同部門の売上高予想を上回る可能性もある。
筆者が話を聞いたアナリストの中で、決算内容に問題点を見いだした者はいなかった。かつて同社の中核だったゲーム部門には弱さも見られたが、同部門は現在、売上高全体の10%未満に過ぎず、急速に存在感を失いつつある。
フアン氏にとっての課題の一つは、既に多くの投資家が彼のメッセージの大半を聞き慣れている点にある。世界ツアーで往年のヒット曲を繰り返すロックバンドのように期待通りのパフォーマンスを披露したわけだが、「新曲」を求める人も一部にいる。
これほどの規模で前例のない成功を収め、あらゆる指標が同じ軌道でのさらなる成長余地を示している企業に対し、新たな物語を求めるのはやや酷かもしれない。それでも投資家は次のストーリーを欲しているようだ。
フアン氏は、あらゆる質問を技術的な深掘りと巧みなセールストークに転じる手腕を今回も発揮した。さらに、宇宙空間にデータセンターを建設する実務上の課題について即興で説明する場面もあった。
だが25日の決算説明会に参加した聴衆の多くは、AIの収益化に関する主張も含め、今年に入りフアン氏が公の場で行ってきたプレゼンテーションの内容を既に耳にしている。
多くのアナリストは、投資家が今回の決算を通過点と見なし、次回の年次開発者会議「GTC」に期待を寄せていると結論付けた。フアン氏は例年、GTCで次世代製品の詳細を披露してきた。投資家は、エヌビディアの技術が新たな市場を切り開くという、次なる物語を待っているようだ。
3月16日にカリフォルニア州サンノゼ中心部でGTCが開催されるまで、フアン氏は表舞台からしばらく距離を置いた方がよいのかもしれない。
原題:Nvidia Faces Investors Seeking the Next Big Thing: Tech In Depth(抜粋)
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