欧州連合(EU)の欧州議会は23日、米国との通商協定の批准を凍結すると決定した。米連邦最高裁が、上乗せ関税を無効とする判決を下した後、トランプ米大統領は世界各国に新たな関税を課す方針を示しており、EUは米国に詳細情報を求めている。

欧州議会貿易委員会のランゲ委員長は、23日の会議で「私たちは現状について、明確さを求めている。米国が協定を尊重していることを明確に確認したい。それが重要な要素だからだ」と語った。

米EU通商協定は昨年夏に合意に達したものの、完全には実施されていない。もし協定が破棄されれば、トランプ氏のウクライナへの支援に対する姿勢や、グリーンランドの支配権を求める動き、EU指導者らに対する厳しい発言などにより、すでに傷ついている米EU関係に、再び亀裂が入る恐れがある。

最高裁の判決を受け、トランプ氏は世界各国に10%の関税を課すと表明し、その後さらに15%に引き上げるとした。米国の貿易相手国には多くの疑問が残る内容で、米国の政策に関する経済的な混乱と不確実性が増している。

欧州の当局者は、米国の今後の関税戦略について説明を求め、そのうえで判断を下す方針だ。

EUの執行機関・欧州委員会の報道官は23日「これらの新たな動きがEUと米国の貿易関係に何を意味するのか、完全に明確にすることが必要だ。EUとして次の対応を判断するには、これが最低限の条件だ」と語った。

主要7カ国の貿易担当相も23日に電話会議を開いた。EUのシェフチョビッチ欧州委員(通商担当)は、会議の場で「米国との通商協定への完全な尊重が最優先事項だ」と強調したと、X(旧ツイッター)で明らかにした。EU加盟国大使も23日に会合を開き、対応を協議する予定だ。

 

米EU通商協定は、トランプ氏と欧州委員会のフォンデアライエン委員長が2025年夏、EUの米国向け輸出品の大半に15%の関税を課す一方、米国産工業製品への関税を撤廃することで合意した。米国は、欧州産鉄鋼・アルミニウム製品への50%の関税を継続する方針も示した。

EUは、米国との全面的な貿易戦争を回避し、ウクライナをはじめとする安全保障上の問題で米国からの支援を維持したいとの思いから、不均衡な合意を受け入れた。

だがその後、米国が50%の金属関税の対象を拡大したことを受け、欧州議会は通商協定の迅速な批准を拒み、協定は部分的にしか実施されていない。

トランプ氏が以前、グリーンランドの併合をほのめかした際にも、欧州議会は通商協定の批准プロセスを凍結した。

EUの欧州議会の主要政党は23日、米国との通商協定の承認を凍結すると発表した

原題:EU Halts US Trade Deal as Tariff Turmoil Injects Uncertainty(抜粋)

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