暗号資産(仮想通貨)ビットコインが今月初めに急落し、トランプ氏の2024年米大統領選勝利以降の最安値を付けてから約2週間が経過したが、ビットコインは狭いレンジで推移しており、投資家はなお方向感を探っている。

ビットコイン急落を受け、暗号資産ヘッジファンドの間では現金比率を引き上げる動きが広がっているもようだ。昨年10月以降の下落局面で暗号資産市場全体の時価総額約2兆ドル(約310兆円)が失われる中、プロ投資家が動揺し、確信を持ちにくくなっていることを浮き彫りにしている。

ファルコンXのシニアデリバティブトレーダー、ボアン・ジアン氏は「ビットコインは6万ドル台半ばで新たなレンジを形成し、明確な方向感を欠いたまま変動している」と述べた。

ビットコインは19日、3%未満のレンジにとどまり、ニューヨーク取引時間では6万7000ドル前後でほぼ横ばいだった。昨年10月初旬につけた過去最高値の約12万7000ドルから約50%下落している。

マーケットメーカーのウィンセントでシニアディレクターを務めるポール・ハワード氏は、一時13%下落した今月6日のボラティリティー急拡大はすでに沈静化したと指摘。「インプライド・ボラティリティーの低下と、オンチェーンデータで確認される現物上場投資信託(ETF)への選択的な需要は、レバレッジ縮小を示唆している」と語った。

10月の大規模な強制清算で市場の信認が損なわれて以降、暗号資産市場は不安定な状態が続いている。ビットコインは12月31日までの3カ月間で24%下落と、2022年以来の大幅な下げとなり、デジタル資産市場全体の取引高は圧迫された。

クリプト・インサイツ・グループの調査によると、昨年10-12月(第4四半期)にリスクとリターンのバランスが悪化する中で、リスク削減に動く運用会社が増えた。一部のファンドは現金比率を引き上げ、常にフル投資を求められているファンドは、よりディフェンシブなポジションへと資金を振り向けた。

シジル・ファンドはリポートで、「第4四半期にリスクとリターンの見通しが悪化し始めたため、ポートフォリオの40%についてリスクを削減した」と説明。ビットコインとイーサリアムのエクスポージャーが共にゼロになったのはファンド設定以来初めてだとした。

 

ヘッジファンドは長年、いわゆるベーシス取引で利ざやを狙ってきた。これは、強気相場の下で、現物市場やETFなどの代替商品でビットコインを買い、長期先物を売って価格差を利用する戦略だ。しかし、ビットコインの下落により、この取引は採算が取れなくなっている。

クリプト・インサイツによれば、運用会社は資本保全と柔軟性を優先し、多くが暗号資産関連株を投資対象に含めるなど運用マンデートを拡大している。以前の調査では、株式は周辺的な位置づけだった。

クリプト・インサイツは「高水準の現金バッファーは、多くの運用会社が、マクロ経済シグナルの明確化や規制面での新たな材料、あるいは資金流入の持続的回復を待ってから、高ベータのトークンに再投資しようとしていることを示している」と指摘した。

原題:Bitcoin Trapped in Fragile Trading as Hedge Funds Pivot to Cash(抜粋)

--取材協力:David Pan.

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