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電気自動車(EV)メーカーの米テスラが自社車両で米アップルのシステム「CarPlay(カープレイ)」への対応を始める計画は、基本ソフト(OS)「iOS 26」の地図アプリに変更が必要なため遅れている。
テスラは昨年、早ければ2025年末にも自社車両でCarPlayに対応する計画に着手した。当時はテスラの販売が低調で、需要てこ入れへの圧力に直面していた。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)も、約1兆ドル(約153兆円)規模と評価される報酬パッケージの確保を目指していた。
信じられないかもしれないが、CarPlayの追加は、その実現に向けた重要な要素と見なされていた。スマートフォン「iPhone」に似たインターフェースは多くの購入者にとって必須の機能であり、テスラはようやく顧客の要望に応えることができると期待された。消費者はiPhoneを手放せないのと同様、CarPlayにも強い愛着を持ち、自動車メーカーが開発した複雑で扱いにくいインフォテインメント(車載情報・娯楽)システムよりも好む傾向がある。
もっとも、この分野ではテスラは競合より有利な立場にあった。同社のインフォテインメントソフトは業界最高水準と広く評価され、「完全自動運転(FSD)」の制御センターとして機能し、他のサービスとも深く統合されている。Apple MusicやSpotifyを含む音楽ストリーミングへの強力な対応に加え、ウェブブラウザーや各種アプリ、動画再生機能、地図やシート、空調システムといった標準的な車両操作も備える。
こうした強みがあったため、テスラは長らくCarPlayの提供を見送ることができた。しかしテスラの販売担当者に話を聞いたり、レディットのようなオンライン掲示板を見たりすれば、CarPlayがサポートされればテスラ車をさらに気に入る、あるいは初めて購入を検討するという人が数多くいることが分かる。昨年11月にテスラがこの方向にかじを切ったと報じられた際、大きな期待が広がったのはそのためだ。
だが年末を過ぎても、車両にCarPlayは搭載されなかった。ただ、朗報もある。テスラは引き続きCarPlayを追加する計画で、現在のソフトウエアインターフェース内のウインドーで動作させる方針だ。テスラとアップルが解決すべき課題はいくつか残っている。
テストの過程で、テスラはApple Mapsと自社開発の地図ソフトとの互換性に問題があることを確認した。自動運転機能で使用する自社地図アプリのターンバイターン方式の案内が、自動運転中にApple Mapsと適切に同期しなかった。両アプリを並べて表示することも理論上は可能なため、利用者に混乱を招く恐れがある。
これに対応するため、テスラは互換性向上に向けたエンジニアリング面の変更をMapsに加えるようアップルに要請。アップルはこれに同意し、iOS 26のバグ修正アップデートおよび最新のCarPlayで調整を実施した。しかし、問題がある。iOS 26の普及率は過去のリリースに比べて鈍い。テスラの見解では、昨年末までに更新されたMapsの変更を利用できるユーザーは少な過ぎた。
それでも状況は変わりつつある。アップルは13日、例年より数週間遅れてiOS 26の利用状況の統計を初めて公表し、過去4年間に発売されたiPhoneの74%で同OSが稼働していると明らかにした。25年1月21日時点でiOS 18は76%だった。進展を示す数字ではあるが、iOS 26の普及が通常より遅いことも裏付けている。
さらに別の問題もある。必要な修正は昨年9月公開のiOS 26.0には含まれておらず、その後のリリースで提供された。アップルはより新しい更新版の利用者数を公表していないため、74%到達が導入時期の前倒しにつながるかは不透明だ。一方でアップルは、サードパーティー製の音声チャットボットアプリのサポート追加や上位版「Ultra(ウルトラ)」の拡充など、CarPlayの利便性強化を図っている。
(これはマーク・ガーマン記者のニューズレター「Power On」のサブスクライバー専用版の抜粋です。アップルに関する特ダネや消費者向けテクノロジー情報、シリコンバレーの内部事情などに関してガーマン記者が執筆するもので、個人的見解も含まれます)
原題:Tesla’s Apple CarPlay Launch Is Held Back by iOS 26: Power On(抜粋)
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