人工知能(AI)投資に向けて米テック大手が巨額の資金調達に乗り出すなか、その受け皿としてパッシブ型ファンドの存在感が高まっている。だが、その過程で市場の混乱が起きかねないとの懸念も浮上している。

パッシブ型ファンドは指数に連動、あるいは一定の社債バスケットを購入して満期保有といった戦略を掲げ、ここ数年に急増している。だが、こうした画一的な債券購入がリスク指標をゆがめ、投資家が脆弱(ぜいじゃく)な状況に追い込まれる恐れがある。

また空前の起債ブームが買い手の基盤を複数の面から試すことになりそうだ。供給急増によって市場が混乱に見舞われやすくなるとみられ、リスクプレミアムが金融危機以降の最低水準近辺にある点を踏まえると、その危険性はとりわけ高まる。一方、投資適格社債市場そのものの構造的な変化という別のリスクを指摘する声もある。

「全体が崩壊するまで、パッシブ勢はさらに大きな割合を引き受けざるを得なくなりつつある」と話すのは、ラスボーンズ・アセット・マネジメントの債券部門責任者ブリン・ジョーンズ氏だ。テック企業による相次ぐ資金調達は、2000年前後の通信業界における起債ブームを想起させるという。当時は最終的に通信業界のリスクプレミアム拡大につながった。

グッゲンハイム・インベストメンツも、新発債の巨額供給を市場が消化するのは容易ではない恐れがあると警告。「市場が追加供給を吸収する過程で、スプレッドには緩やかな拡大圧力がかかる可能性が高い」と、アン・ウォルシュ最高投資責任者(CIO)が率いるチームが今週のリポートで指摘した。ハイパースケーラーだけでも、今年の社債発行額は正味で最大1200億ドル(18兆3300億円)に達する可能性があるという。

またアルファベット、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフトといった高格付け企業による発行増が、クレジット指数全体の構成にどのような影響を及ぼすかという疑問もある。集中リスクはすでに株式市場でも懸念材料となっている。AI関連銘柄への投資が失速すれば、市場全体が道連れとなって悪影響を受けかねないとの不安があるためだ。

現在、ブルームバーグの米国投資適格社債指数に占めるテクノロジー企業の比率は10%未満にとどまる。ただ、社債発行全体に占める同セクターのシェア拡大に伴い、この比率は大幅に上昇する見通しだ。この動きはすでに英国で表面化している。歴史的にみてテック企業はポンド建て指数における比重が大きくなかったが、今週のアルファベットの大型起債により、月末の指数リバランス時にはブルームバーグのポンド建て投資適格社債指数で3番目に大きな発行体となる見込みだ。

原題:AI-Driven Debt Binge Threatens to Disrupt Passive Credit Funds(抜粋)

--取材協力:Kevin Kingsbury.

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