(ブルームバーグ):トランプ米大統領は、米国の石炭火力発電への依存を長期化させるため複数の措置を打ち出した。国防総省に対し石炭火力発電所からの電力購入を命じたほか、既存施設の改修に多額の資金を投じると発表した。
トランプ氏はヘグセス国防長官に対し、軍事活動向けに石炭火力発電所から電力を購入する契約を締結するよう指示した。この大統領令に基づき国防総省のエネルギー関連部門は、需要拡大と事業の確実性を見込める長期契約の締結を目指す。
鉱山会社や石炭会社、エネルギー業界のリーダーらが出席して11日にホワイトハウスで開かれたイベントでトランプ氏は「今後、軍を通じて大量の石炭を購入することになる。これまで長年使ってきたものよりも安価で、実際にはるかに効果的だ」と述べた。

トランプ氏は石炭を「最も信頼でき、頼りになる」エネルギー形態だと称賛し、一連の措置により発電量が増え、消費者向け電気料金が引き下げられるほか、国家安全保障に不可欠な産業に安定した電力供給を確保できると強調した。
「私の就任1年目に石炭火力発電はほぼ15%増加した。向こう1年は25-30%程度になるだろう。石炭が増えればコストは下がり、米国民、そして率直に言って米国そのものの懐により多くの資金が残る」と語った。
同氏はさらに、テネシー川流域開発公社が廃止予定だった石炭火力発電所2基の稼働継続を計画していることを称賛。石炭火力発電所の改修支援でエネルギー省が資金を拠出することも発表した。ホワイトハウス当局者によると、ケンタッキー、ノースカロライナ、オハイオ、バージニア、ウェストバージニアの発電所6カ所の改修に1億7500万ドル(約270億円)を交付する。
今回の取り組みは、石炭産業を採掘と消費の両面からてこ入れするトランプ氏の最新の動きだ。米国では、より安価な天然ガスや再生可能エネルギーとの競争、気候変動への懸念を背景に、発電源としての石炭利用は減少してきた。ただ、米政府の政策変更や、電力を多く消費する人工知能(AI)産業からの需要急増を受け、状況は変化している。
環境保護団体は今回の措置について、よりクリーンな代替エネルギーを犠牲にしつつ、汚染の大きい発電源を政府が下支えするものだと批判する。天然資源保護協議会のマニシュ・バプナ会長は「米国民がクリーンで手頃な価格のエネルギーを求めている中、トランプ政権は税金を使って国内で最も汚染が激しく、効率の低い発電所を下支えしている」と述べた。
(ブルームバーグ・ニュースの親会社ブルームバーグ・エル・ピーの創業者で筆頭株主のマイケル・ブルームバーグ氏は、2030年までに米国内の残る石炭火力発電所を閉鎖し、新規の天然ガス火力発電所の開発を停止することを目指すキャンペーン「Beyond Carbon」に5億ドルを拠出している)
原題:Trump Orders Pentagon to Buy Coal Power in Boost to Industry (1)(抜粋)
--取材協力:Jeran Wittenstein.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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