(ブルームバーグ):資生堂株は12日、一時前営業日比16%高の3218円を付けた。2018年5月以来の日中上昇率。10日の取引終了後に今期(26年12月期)の純損益は420億円の黒字見通しと発表した。市場予想を大きく上回り、日中関係が悪化する中でも健闘しているとの声があがっている。
同社は10日に開いた投資家向け決算説明会で、日中関係悪化で免税販売に影響が出ているほか、新商品のプロモーションの延期などが起きていると明らかにした。一方で26年1-3月(第1四半期)の業績押し下げ影響は、売上高で約100億円、利益で約30億円にとどまるという。
中国や免税販売を含むセグメントが、資生堂の売上高全体の3割超を占める。昨年11月の高市早苗首相の国会答弁をきっかけに両国の関係が冷え込む中、同社事業への影響にも注目が集まっていた。
SMBC日興証券アナリストの山中志真氏はリポートで、日中関係の悪化など外部環境が厳しい中でも、25年10-12月(第4四半期)に増収転換した点や業績予想を引き合いに、「力強い実績・計画を評価したい」と述べた。
ジェフリーズ証券アナリストの川本久恵氏も英文リポートで、外部環境が厳しい中でも前期に内部施策によって計画を上回った点は評価でき、投資家の見方は改善する可能性が高いとした。
マッコーリー証券は11日、投資判断を従来の「ニュートラル」から「アウトパフォーム」へ引き上げた。アナリストのサニー・チャウ氏らは、構造改革により営業利益率回復への基盤は整ったと指摘。地域ポートフォリオの再構築やブランド戦略の刷新が今後の成長をけん引する見通しであり、同社株は再評価局面を迎える可能性が高いとした。
資生堂は構造改革から成長投資フェーズへの移行を強調している。今期はドランク・エレファントの再建で米州事業が改善するほか、国内事業もコアブランドへの投資加速や戦略的な値上げなどで成長を見込む。
新商品強化
またNARSの新ファンデーションやアネッサの男性用日焼け止めなど、新商品の投入を強化。新商品の販売数量と売上高ともに前年比20%増を見込む。
藤原憲太郎社長は10日の決算会見で、「26年は改革の年ではなく、成長を確実に実現させる年だ」と意気込んだ。そのための強固なブランドポートフォリオはこれまでの改革と投資で構築されており、「準備は整った」と述べた。
ただ先行きの見通しに対して慎重な声も漏れる。川本氏は今後は各種リスクによるマイナス影響が十分に織り込まれているかを見極めたいと言及。
シティグループ証券の渡邉宏樹アナリストは英文リポートで今期の日本事業の売上高成長率見通しはやや強気に見えると指摘。前期の実績が0.7%増に留まったことを踏まえると、達成確度には慎重な見方が必要だと述べた。
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