(ブルームバーグ):プルデンシャル生命保険は10日、同社社員らが顧客から31億4000万円に上る金額を不適切な手段で受け取っていた問題を受け、第三者委員会を設置したと発表した。実態を解明して実効性のある再発防止策を策定するには外部の専門家による詳しい調査が必要だと判断した。
発表資料によると、委員長は岩村修二氏、委員は角谷直紀氏ら3人で、いずれも弁護士。会社側は調査に全面的に協力し、信頼回復に向けた取り組みを着実に進め、調査が完了次第、その内容について速やかに公表するとしている。
問題を受け退任した間原寛前社長に代わり1日付で社長に就任した得丸博充氏は記者会見で、「金銭に関わる不適切な行為は、生命保険会社として果たすべき責務に根本から反する」との認識を表明。「信頼の根幹を問われる重大な局面だ」とした上で、「組織改革を進めながら再発防止策に向けて取り組みを進めることが責務だ」と述べた。

得丸氏は第三者委員会について、先月の会見では被害情報の事実確認は完了しているなどとして、独立した調査委員会を立ち上げる予定はないと説明していた。
また、補償方針を発表して以降、9日までの申請は約300件に上ると明らかにした。会社側が把握していない不正案件も含まれているという。同社は問題を受け保険商品の90日間の新規販売自粛を決めたが、再発防止に関して十分な対策が整ったと自信を持てなければ、自粛期間を延長する考えも示した。
また、外部専門家を構成員とした補償委員会を設置したと同日発表した。元営業社員らによる被害の補償について独立した立場で審査・判断する。1月16日の時点で把握していた事案のうち、社員が在職中に行った行為による被害については、審査を経ることなく全額補償する。得丸氏は「被害を受けた顧客には原則全額補償する」と述べた。
生命保険会社の間では今回の問題以外にも、大手4社で社員が出向先から内部情報を無断で持ち出すなどの不祥事が相次いでいる。過去数年は損害保険会社でも保険料カルテルや顧客情報の漏えいなどが発生しており、保険会社のコンプライアンス(法令順守)やガバナンスの在り方が問われている。
国会では昨年5月に保険会社や代理店に対する規制や顧客保護強化を盛り込んだ改正保険業法が可決・成立した。金融庁は顧客の立場に立った業務運営や健全な競争環境を実現して保険業界の信頼確保に取り組み、保険会社などに対する監督体制を強化する方針を示している。
プルデンシャル生命は先月、1991年から2025年にかけて同社が認めていない暗号資産などの投資商品を勧誘して金銭を着服したり、借り受けたりして計31億円を不適切に受け取っていたと発表した。そのうち約23億円が返金されていない。
片山さつき金融相は今朝の閣議後会見で、プルデンシャル生命の問題について、「非常に遺憾だ」とした上で、「真因をしっかり分析した上で、実効性ある再発防止策を実行させることが重要だ」などと指摘した。
親会社の米プルデンシャル・ファイナンシャルは、日本での販売自粛により、2026年の通期利益が3億-3億5000万ドル(約470億円-550億円)程度押し下げられるとの見通しを示している。日本現法の持ち株会社プルデンシャル・ホールディングス・オブ・ジャパンの吉田悟取締役兼最高執行責任者は、日本からの撤退は「全く考えていない」と述べた。
(親会社への影響などを追加して更新します)
--取材協力:横山恵利香.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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