米紙ワシントン・ポストは4日、報道事業のほぼ全部門を縮小する人員削減に着手した。アマゾン・ドット・コムの共同創業者ジェフ・ベゾス氏が所有する同紙は、厳しい経営環境に直面する中で黒字回復を目指している。

同紙の経営陣は社内向け説明会で、スポーツ部門を閉鎖すると明らかにした。ただ、スポーツを文化的な視点から取材する数人の記者は残すとした。また、書籍セクションを廃止し、ポッドキャスト「ポスト・リポーツ(Post Reports)」を終了するほか、デジタルと紙面の編集デスクを1つのチームに統合すると発表した。

ワシントン・ポストは削減人数を明らかにしていない。ブルームバーグは先月、スポーツ部門と海外ニュース部門のスタッフを中心に最大300人を削減する計画だと報じていた。同紙の労働組合ワシントン・ポスト・ギルドによると、過去3年間で従業員数は約400人減少している。

1970年代のウォーターゲート事件の報道で名をはせた同紙は、広報担当者を通じ、「当社はきょう、将来に向け困難だが断固とした措置を講じている。これは全社的な大規模再編となる」とし、「これらの措置は、経営基盤を強化するほか、本紙ならではの、何よりも読者の関心を引きつける独自報道に焦点を絞るためのものだ」と説明した。

マット・マレー編集主幹は4日、編集局スタッフ宛ての文書で、財務基盤を立て直し、「新技術の急速な変化と利用者の行動様式のシフトが進むこの時代に、より良い位置取りをする」ために行動が必要だったと説明した。

マレー氏によると、同紙は内外の政治と各国情勢、国家安全保障といった同紙の強みであり、読者の関心とも合致する分野に注力する。科学、健康、テクノロジー、ビジネスの取材も継続する。

ワシントン・ポストは以前から財務問題に直面してきた。オンライン検索機能にAIが導入され、読者がニュース記事への直接リンクではなくAIによる要約に誘導されるようになったため、メディアの収益モデルに大きな影響が出ているという。マレー氏は同紙の広告を介さない検索流入が過去3年間でほぼ半減したとし、AI生成コンテンツはまだ初期段階ながら、利用体験や期待を大きく変えつつあると指摘した。

マレー氏は「今日のニュースはつらい。困難な決断だ」と述べた。

ベゾス氏は2013年にワシントン・ポストを買収し、資金を注入しながら読者層の拡大に乗り出した。だが近年は、他の主要な紙媒体と同様に同紙も、広告収入と購読者数の減少を受けて事業縮小を余儀なくされている。23年には、主に希望退職を通じて約240人を削減した。

24年にベゾス氏が、同紙として特定の米大統領候補者への支持を表明しないと決定し、数十年続いた慣行を終わらせたことは、社内外の激しい批判にさらされた。複数の編集者や記者が辞職したほか、米公共ラジオNPRによると、購読者全体の8%に当たる最大20万人が解約した。

原題:Washington Post Cuts to Eliminate Sports, Book Sections (1)(抜粋)

--取材協力:Josh Eidelson.

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