インドのモディ首相は2026年度(26年4月-27年3月)予算で、トランプ米大統領による関税措置から国内経済を防衛する方針を鮮明にした。

政府が1日発表した26年度予算案には、米関税の影響を受けた輸出産業への支援策や、レアアース(希土類)・半導体・重要鉱物など戦略分野の強化策が盛り込まれた。インフラ投資の拡充に加え、防衛費を18%増額し、中国とパキスタンという二正面の脅威に備える構えを示した。

一方で、債務目標をおおむね維持し、歳出総額を抑制した。昨年のような大規模減税は見送られ、州選挙を控える中でも新たな大型歳出には踏み込まなかった。ニューデリーのコンサルティング会社アジア・グループのアショク・マリク氏は「今年の予算はインド経済を守るための防御的な運営だ」と述べ、「世界的な逆風に備える姿勢が明確だ」と分析した。

特別の日曜取引が行われた1日のインド株式相場は予算案発表後に下落した。これは予算案への全体的な失望感よりも、政府が投機抑制のため株式取引への課税を引き上げたことへの反応とみられる。政府が市場の想定を上回る国債発行を計画したことも、債券市場に重しとなっている。

2日の債券市場では10年国債利回りが最大8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、1年超ぶりの高水準となる6.78%を付けた。主要株価指数は一進一退で推移した。

インドの予算案発表に関するリポート

シタラマン財務相は1日に議会で行った予算案に関する演説で、「貿易と多国間主義が脅かされ、資源やサプライチェーンへのアクセスが阻害される外部環境に直面している」と指摘。こうした脅威の中で「インドは引き続き世界市場と深く統合された状態を維持し、輸出拡大と安定的な長期投資の呼び込みを進める」と述べた。

今回の予算案では、名指しはなかったものの、トランプ政権の政策の影響を明確に意識した構成となっている。米国は昨年8月以降、ロシア産原油の購入に対する制裁などを目的にインド産品に最大50%の関税を課している。これにより繊維や家具など労働集約型産業が打撃を受けた。

モディ首相はこうした逆風に対し、経済の自立化によって「危機耐性」を高めている。昨年は国内消費の喚起のため消費税に相当する物品サービス税(GST)を引き下げたほか、企業が雇用と解雇を容易に行えるよう労働規制を緩和した。

エムケイ・グローバル・フィナンシャル・サービスのエコノミスト、マダヴィ・アローラ氏は「生産性向上、規制緩和、分野別の事業環境改善に引き続き重点を置いた内容だ」と評価。「改革路線は継続している」と述べた。

原題:Modi Aims at Trump’s Threats With Budget to Shield India (1)(抜粋)

--取材協力:Anup Roy、Swati Gupta.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.