高市早苗首相が円安は輸出産業にとって大きなメリットがあると発言したことを受け、円相場が下落している。政府・日本銀行が円を下支えするために為替介入に踏み切るとの観測が後退したためだ。

円は2日に対ドルで一時0.5%安の155円51銭まで下落。日本と米国の通貨当局が市場参加者に相場水準を尋ねるレートチェック観測を背景に1月23日以降に進んだ円高の約半分を失った。

高市首相は31日、円安について輸出産業や外国為替資金特別会計(外為特会)の運用への好影響に言及したほか、米国の関税の影響を和らげ自動車産業の耐性を高める効果があったとの認識を示した。その後、為替変動に強い経済構造を構築する必要性を強調する意図だったと、発言の真意を自身のX(旧ツイッター)で説明した。

ANZグループ・ホールディングスの為替ストラテジスト、フェリックス・ライアン氏は「高市氏の最近の発言は、日本経済の一部にとって円安にメリットがあることを示唆しており、現時点では政権が円相場の水準を過度に懸念していない可能性を示している」と指摘。「仮にドル安が改めて進んだとしても、2026年にドル・円が150円を下回る展開は想定していない」と述べた。

高市氏が高い支持率を追い風に与党・自民党の党勢拡大を図る中、2月8日の総選挙を前に、日本市場ではボラティリティーの高まりに警戒感が高まっている。また、インフレを加速させ、円や日本国債に下押し圧力をかけかねない積極的な財政政策への懸念もくすぶっている。

衆院選(定数465)を巡っては、自民党が単独過半数を大きく上回る勢いで、日本維新の会と合わせた与党で300議席超をうかがうと、朝日新聞が2日付の朝刊で報じた。

先週の円の上昇は、対ドルで160円近辺まで円安が進み、24年に日本の当局が市場介入に踏み切った水準に接近したことを受け、米ニューヨーク連銀がレートチェックを実施したとの観測が浮上したことが背景だった。その後、ベッセント米財務長官は、米国が円を支えるための為替介入をしているとの見方について「絶対にしていない」と否定した。

こうした発言を受け、日米協調介入への期待は後退した。一方で、片山さつき財務相は、米国との協調行動の可能性について繰り返し言及してきた。財務省が1月30日に公表した統計では、同月28日までの1カ月間に円を下支えするための介入が行われなかったことが確認された。

トランプ米大統領が次期連邦準備制度理事会(FRB)議長にウォーシュ氏を指名したことで、円相場の先行きはさらに不透明になっている。最近は利下げを支持する姿勢を示しているものの、市場では、同氏が最終的には物価上昇圧力への警戒を優先し、ドル高が円の重しになるとの見方が広がっている。

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