「消費税減税」各党の政策は?

藤森祥平キャスター:
26日の番組の中で党首討論の様子をお伝えしましたが、各党が消費税減税の方向で一致しているものの、いつ実現するのかなど、まとめ方は一筋縄ではいかないことが改めてわかりました。

小説家・真山仁さん:
消費税が争点になったのは「ファンタジー」ですね。できないことがわかっているのに、こうなったらいいなと何となく夢の世界のことを言っている。消費税を減税するときの財源や、消費税をなくしてしまったときの世の中の様子を全く想像せず、ただ「消費税減税」を連呼するというのは、現実の世界ではあり得ない。

小川彩佳キャスター:
今、できないことですか?

真山仁さん:
税金を下げることはできるかもしれないですが、現状の一般会計の予算を見ても、国債でカバーしない限りはお金がない。税金を取らないで国民のサービスを維持するというのは、不可能なわけじゃないですか。

藤森キャスター:
ただ、多くの国民は今の物価高が苦しい現実を何とか変えてほしい。

23ジャーナリスト 片山薫記者:
家計の負担軽減額を見ると、食料品の税率をゼロにするだけで8万円、食品以外も一律5%にした場合が28万円、完全に消費税を廃止すると50万円以上の負担軽減がありますが、税収も大きく減ります。

食品だけで約5兆円規模、一律5%だと15兆円規模、廃止だと30兆円規模の税収が減ります。元々80兆円しか税収がないですから、それを削ってしまうという話なんです。

藤森キャスター:
その財源はどこから持ってくるのかということで、TBSが各党にアンケートをとりました。

▼自民
今後 国民会議で実現に向け検討

▼維新
補助金や租税特別措置の見直しなど

▼中道
政府系ファンド創設による運用益、「積み過ぎ」基金の活用など

▼国民
年金積立金などの資産運用益・売却益など

▼共産
大企業・富裕層優遇税制の是正など

▼れいわ
国債発行と累進課税の強化

▼参政
積極財政による景気回復での自然増収、社会保障制度の転換で支出効率化など

▼ゆうこく
期日までに未回答

▼保守
減税による経済成長

▼社民
大企業の内部留保課税、防衛費の引き下げなど

▼みらい
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どうですか説得力のある説明はありますか。

片山記者:
残念ながら責任ある財源を示している党は、ほぼないと言えると思います。

藤森キャスター:
まず、自民・維新は今後 国民会議で実現に向けて検討をしていくという内容。

片山記者:
来年度までにやると言っているのに「これから議論します」と、具体的な案が全く出ていない。

藤森キャスター:
中道・国民は、政府系ファンドを作ったり年金積立金の“運用”です。

片山記者:
新しい発想ではあると思いますが、既に運用してるものもありますし、基金を取り崩してどこまでできるのか。さらに、株で運用してその利益を社会保障の財源に充てるというのは、少し楽観的ではないかと思います。

藤森キャスター:
運用が失敗するケースも、考えなくてはいけない。

真山仁さん:
今までも運用して成功しないから税金で補填している。そもそも実績がない証券会社が「運用でお金を儲けられますよ」と言っても、誰が投資するんだという話です。

藤森キャスター:
共産・社民などは大企業や富裕層から税金を取る。

片山記者:
富裕層に一定程度の課税をしても、おそらく桁が足りない。さらに、大企業に課税すると、財務省内でも認められるようになってきているという意見もありますが、実際にやると賃上げの原資がなくなる可能性がある。

その中でみんなが納得できるかどうか。また、これでは数十兆円は出てこないです。

藤森キャスター:
令和・参政・保守党などは、経済効果、経済成長を見込んでそこからのプラス分でカバーしていく。

片山記者:
確かに少しは消費が良くなるかもしれません。ただ、5兆円減税した場合に、そこで出てくる経済効果は5000億円程度と言われています。

それと、問題なのは国債の発行という考え方です。今、高市政権が補正予算を少し増額しただけでも、円安になったり金利が上昇している。市場は日本の財政の先行きをかなり不安視しています。この警告をきちんと受け止めないと、もしかしたら「国債を発行します」と言った瞬間に円安になり、金利も上がる。

日本の信認、円の信認、国債の信認が揺らいでる状況でこれをあげるのは、どの党も財源を示してないという意味で無責任だと言わざるを得ない。

小川キャスター:
リスクを語る言葉がなかなか出てこないことが非常に気がかりです。真山さんは国家財政の破綻を描いた小説も執筆されています。こうした財源が各党から出ていますが、どう思いますか?

真山仁さん:
現状、この財源にはリアリティがありません。一番いい方法は歳出を減らすことですよね。つまり、社会保障など色々なサービスを国民に我慢していただくという方法しか多分、考えられない。

もう一つは、消費税を下げるなら他の税金を上げる。例えば、今までやったことないような携帯電話で1回通話するたびにいくら、株を買うたびにいくら、といった新しい税を作っていく。

結局は、一つ減れば一つ増やす。さらにもっと増やさないといけないので、他のところから負担を求めるということになる。だからこそ「ファンタジー」なんです。

これを選挙の短い期間の中でちゃんと言えるのか。甘い話ばかりに目を向けるのではなく、現実と未来を想像する。これを選んだ場合に私たちは本当に豊かになるのか、暮らしが楽になるのかということを考えて欲しいです。

小川キャスター:
「ファンタジー」ではないのだという言葉を、どれだけ語れるかということですね。

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<プロフィール>
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
財政問題を描く「オペレーションZ」執筆

片山薫
23ジャーナリスト 経済部筆頭デスク
財務省や経産省・農水省などを担当