プルデンシャル生命保険の間原寛社長兼最高経営責任者(CEO)は23日、都内で記者会見し、同社社員らが顧客から31億4000万円に上る金額を不適切な手段で受け取っていたことに関して、過度な業績連動報酬制度が原因だったとして抜本的に見直す考えを示した。

間原社長は「重大な不適切行為が発生し、多大なるご不安とご迷惑をおかけしていることに対し心より深くおわび申し上げる」と謝罪した。「お客さまの被害回復を最優先に、誠実に対応することを約束します」とした上で「実効性のある再発防止策に取り組み、お客さまや社会の信頼回復に全力を挙げて取り組む」と述べた。

同氏は2月1日付で退任し、グループのプルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命保険の得丸博充社長が新社長に就く。

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

プルデンシャル生命によると、1991年から2025年までに106人の社員や元社員が同社が認めていない暗号資産などの投資商品を勧誘して着服したり、金銭を借り受けたりして、顧客503人から計約31億円を不適切に受領していた。このうち、17年から25年にかけて、3人の元社員が在職中の同社の書類を利用するなどして、計約6000万円をだまし取っていた。

不適切に得た金銭の多くは営業活動のための資金のほか、自動車や高級時計の購入に充てるなど華美な生活をする目的で使われていた。

今回の問題を受け、プルデンシャル生命では営業社員の報酬制度をゼロベースから再構築し、今春に新たな報酬制度の基本設計を決めると発表した。人事評価制度についても、上司だけでなく同僚や部下からもコメントを集める「360度評価」を導入するなどして見直すという。

間原社長は不正行為の原因について、同社の特殊な営業社員の制度が背景にあったと説明した。営業社員の自主性や独立性を重視し、成果や業績をダイレクトに報酬などで評価していた。「業績に過度に連動する制度が、金銭的利益を重視する人材を引き付けたり、入社後にそのような考えを持つに至ったりしてしまうことがあった」と述べた。

また、経営管理体制にも問題があったと認めた。「創業以来のビジネスモデルを抜本的に変革することに対してちゅうちょする風土が形成されていた」とした。管理職による営業社員の管理が十分に行われておらず、顧客との密接な関係を悪用した金銭詐取や不適切な投資商品の勧誘が行われていたという。

次期社長に就く得丸氏

次期社長に就く得丸氏は「報酬の変動が大きく、短期間で大金を手に入れやすいが新契約を受けられないと活動や生活資金が不足するといった課題がある」と指摘。「報酬制度を再構築し、金銭不祥事を根絶する」と述べた。社外のメンバーで構成された第三者委員会による調査について、実施する予定はないと説明した。

顧客への補償については、第三者の専門家で構成する補償委員会を設置し、個別の事案ごとに事情を精査した上で、補償の必要があると判断したケースについては全額を補償していく方針としている。

プルデンシャル生命は、米プルデンシャル・ファイナンシャル傘下の生命保険会社。25年3月末時点で国内に143支社を抱え、営業社員であるライフプランナーは同4月1日時点で4329人が在籍。同社のホームページによるとライフプランナーはほぼ中途採用で占めており、入社3年目以降は販売実績に応じた報酬制度に移行する。平均年齢は42歳。25年3月の営業社員の平均報酬月額は112万3000円だった。

(第5段落を追加して記事を更新します)

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