ドイツ政府が発表した総額30億ユーロ(約5520億円)規模の電気自動車(EV)購入補助金制度は、中国ブランドを含む全てのメーカーを対象としている。欧州最大の自動車市場の再活性化を図る。

ドイツでは2023年末に補助金が終了した後、EV需要が後退した。19日に公表されたこの補助金制度は、EV普及を再加速させ、低迷する自動車産業を支援する新たな取り組みの一環。政府は国内メーカーの支援を目指す一方で、原産地に基づく制限は設けない。

シュナイダー環境相は19日の記者会見で「私は欧州およびドイツのブランドの品質を確信している」と述べた上で、「ドイツに中国メーカー製の自動車が大量に流入しているという主張については、統計上でも実情でも裏付けがない。われわれが制限を課さず、競争に正面から向き合うのはこのためだ」と語った。

この決定は、比亜迪(BYD)など、価格競争力により欧州で存在感を強める中国ブランドに追い風となる。欧州連合(EU)に輸入される中国製EVは関税を課されているが、低い製造コストによりEU域内でなお採算が取れている。このためEUは、輸入関税の代替措置として最低価格制度の導入を検討している。

中国メーカーに門戸を開くドイツの方針は、他の欧州諸国の対応と対照的だ。中国製EVにとって欧州最大の市場である英国が昨年導入した補助金制度は、中国製バッテリー車を事実上排除している。電池や組み立て工程における低炭素排出などの環境基準を義務付けているためだ。低・中所得者層向けに手頃な価格でEVをリースするフランスのソーシャル・リース制度も同様の条件を設けている。

独環境省によると、昨年10月に初めて概要が示された今回の新たな補助金制度は、2029年までに約80万台の購入を支援する見通し。補助金額は世帯所得や家族構成、車種に応じて1500~6000ユーロとなり、主に低・中所得層を対象とする。

この制度は、手頃な価格帯のEVを拡充しているフォルクスワーゲン(VW)やステランティスなどに恩恵をもたらす。

メルツ首相率いる連立政権は、EVに対する税優遇措置を35年まで延長した。財務省の試算では、これにより29年までの税収減は約6億ユーロに達する見込み。メルツ氏は、EUが提案している内燃機関(ガソリン車・ディーゼル車)の段階的廃止について、緩和を求めている。

原題:Germany’s €3 Billion EV Subsidy Will Be Open to Chinese Brands(抜粋)

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