(ブルームバーグ):シティグループ証券の星野昭市場部門長は、円安基調が続けば日本銀行が今年3回の利上げに踏み切り、政策金利を現在の2倍となる1.5%にまで引き上げる可能性があるとみている。市場予想の年2回程度の利上げペースを上回る見方を示した。
ブルームバーグとの取材で明らかにした。同氏はドル・円相場が1ドル=160円を上回る展開になれば、日銀は4月にも政策金利を0.25ポイント引き上げて1%にすると予想。その後、円高方向へと戻らなければ、7月に同幅で再度利上げし、それでも効果がなければ年末までにもう一回引き上げる可能性があると指摘した。
星野氏は「要は実質金利がマイナスであることが円安の要因だ」とし、為替水準に影響を与えるには「これを是正するしかないという話になるだろう」と述べた。名目金利が物価上昇率を下回る状況では、円や円債を保有する魅力が低下する。
国内外の金融市場で30年以上の勤務経験を持つ星野氏の発言は、現在の日本の金融政策を見通す上で為替相場がいかに重視されているかを示している。今月22、23日の金融政策決定会合では政策金利の現状維持を決める見通しだが、一層の円安が今後の利上げペースを速める可能性も指摘されている。

ブルームバーグがエコノミスト52人を対象に8-14日に行った調査によると、日銀の追加利上げは7月との見方が48%で最多となった。今後の利上げペースは、68%が半年に1回程度とみている。市場の金融政策予想を表すオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は、2026年末までに2回の利上げが行われる可能性を織り込んでいる。
星野氏は、財政政策が「ばらまき」的になり円安が急速に進むことになれば、海外の投資家などが日本株を「買っている場合ではない」として売りに転じる懸念もあると指摘。そのような状況下で日銀が政策対応で後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」に陥るリスクについて、「非常に高い」とも述べた。
19年にシティG証の為替部門責任者として入社した星野氏は、22年から金利営業統括部長を兼務したのち、昨年3月に日本の市場部門長に就任した。年内のドル・円相場は1ドル=150円弱-165円のレンジで推移すると予想している。足元では158円を挟んだ取引展開となっている。

市場部門は米シティグループ全体で収益の約4分の1を稼ぎ出す。日銀の政策金利の行方は、シティグループ証券のビジネスを展開する上でも重要になる。
政策金利の引き上げが10年物国債利回りなどのさらなる上昇につながり、実質金利がプラスに転じれば、金融機関の債券ビジネスにとって追い風となる可能性があるという。日本の機関投資家が海外に投資している資金を引き揚げ、円建て債券への投資を増やすとみられるためだ。星野氏は、これまで資金を日本に戻したくとも投資先がなかったと述べ、「円安がなかなか終わらないのはまさにそこが原因だ」と指摘した。
同氏は市場部門内での顧客ニーズなど情報共有促進に加え、投資銀行部門との連携強化に力を入れていると説明する。コーポレートガバナンス(企業統治)改革などの結果、日本企業は買収を含む成長投資を積極化しており、助言業務で手数料を得る金融機関にとっては好機だ。資金を手当したい企業とその出し手である投資家を結びつける役割を担う市場部門が、早い段階から資金調達の検討に関与することで、顧客への最適な提案につなげたいとしている。
(6段落目に星野氏のコメント、実質金利の推移グラフをそれぞれ追加します)
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