(ブルームバーグ):トランプ米大統領は、レアアース(希土類元素)を含む重要鉱物の輸入を対象とする新たな関税の即時導入を見送ると表明した。米商務省が通商拡大法232条に基づき行ってきた調査は、こうした輸入が米国家安全保障上のリスクに該当すると認定したが、政権は当面、外交交渉を優先すると説明した。
商務省調査を受けて14日に発布された大統領布告でトランプ氏は、当面は関税導入ではなく、外国政府との交渉を通じて「十分な重要鉱物の供給を確保し、サプライチェーンの脆弱性を可能な限り迅速に緩和する」ことを目指すと述べた。ただ、交渉の結果次第では、「将来的に、特定の重要鉱物について最低輸入価格を設定することを含め、代替的な措置を検討する可能性がある」と説明した。
その上で、「商務長官は、満足できる合意が適時成立しない場合には、関税などの輸入制限を課すことが適切になる可能性があると示唆した」とも述べた。
業界関係者はここ数カ月、商務省調査の判断を待ち望んできた。同調査は、加工済みの重要鉱物およびその派生製品が防衛産業にとって不可欠であることを根拠に、その輸入が米国の国家安全保障を脅かしていると結論付けた。
ただ、即時の関税導入が見送られたことは、米政権が中国との貿易休戦合意の不安定化を回避しようとしていることを示唆している。トランプ氏と中国の習近平国家主席は昨秋、輸入関税率の引き下げや輸出規制緩和で合意していた。
トランプ氏は、中国が昨年の貿易摩擦の中で、先端技術に不可欠なレアアースへのアクセスを制限したことから、対応を迫られている。
今回の大統領布告は、ウランにも影響を及ぼす可能性がある。人工知能(AI)の莫大な電力需要に対応するため、米国が原子力発電の拡大を急ぐ中で、ウランへの関心は高まっている。布告は、ウランを「エネルギーセクターが依存する」重要鉱物の一つに位置づけた。
将来的に重要鉱物に関税が課される場合、政権が直面する大きな課題の一つは、これら鉱物の多くが米国内でわずかしか生産されていないことだ。
貿易の専門家によると、関税は国内の既存産業を保護し、成長を促すために必要とされている。しかし、中国が世界のレアアースの80%以上を加工し、カザフスタンが世界のウラン供給の大半を担っている現状から、国内生産が乏しく外国からの供給に依存せざるを得ない米国企業が関税によってどのような恩恵を受けるかは定かでない。
原題:Trump Holds Off on Critical Minerals Tariffs After Trade Probe(抜粋)
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