(ブルームバーグ):ゴールドマン・サックス・グループのアナリストによると、米国ではデータセンター向けの電力需要急増により、2030年までにほぼ全ての電力網で、供給力の余力を示す予備率が危機的な水準に低下する見通しだ。こうした供給制約が足かせとなり、米国は人工知能(AI)開発競争で中国に先行を許す恐れがある。
ゴールドマンの世界コモディティー調査共同責任者、サマンサ・ダート氏が6日、マイアミで開催された同社主催のエネルギー関連会議で指摘した。
ダート氏は「供給能力の拡充が追い付いていない」とし、これらの制約が解消されない限り、最終的に中国がAI競争でリードする可能性があると述べた。
電力網は通常、最大需要に対して少なくとも15%の供給余力(予備率)を確保することを目標としている。予備率は、最大需要と、利用可能な発電能力との差を基に算出される指標だ。ダート氏によれば、一部の電力網は既に目標を下回っており、データセンターが需要の伸びをけん引することで、30年にかけて供給不足はさらに深刻化する見通しだ。
米国では地域ごとの送電網や小規模なネットワークを運営する数千の公共事業者が混在している。過去20年間にわたり需要が停滞していたこともあって、インフラ投資の拡大が進んでいない。
トランプ政権はAI競争への対応を優先事項に掲げているが、米国が優位性を維持できるかは、規制当局による事務手続きの簡素化や旧態依然とした市場ルールの刷新、老朽化したインフラの迅速な近代化に左右される。
一方で、電力供給網の維持費や異常気象・山火事の復旧費用で電気料金が上昇しているところに、データセンター向けの需要が重なり、エネルギー分野のインフレが進んでいる。これが政治・経済面でますます大きな課題となっている。
ゴールドマンの米電力・公共事業株調査責任者、カーリー・ダベンポート氏は同じパネルディスカッションで、上昇が続く電気料金は年内に予定される36州の知事選で主要な争点になる可能性が高いと述べた。
同氏によると、電気料金の全米平均はこの2年間で約9%上昇した。地域別ではニューヨーク市やメリーランド州で約2割上昇する一方、フロリダ州やニューハンプシャー州では低下しているという。
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原題:Goldman Sachs Warns US Grids Face Power Crunch by 2030(抜粋)
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