(ブルームバーグ):中国が7日、主に半導体製造に使われるジクロロシランについて、日本からの輸入品に対する反ダンピング(不当廉売)調査を開始すると発表した。トランプ米大統領が「世界のために」レアアース(希土類)を巡る問題を解決したと宣言してから数カ月、中国は、米国の重要な同盟国である日本に対するトランプ氏の支持を試そうとしている。
中国政府は今週、防衛目的で使用されるデュアルユース(軍民両用)製品の輸出を全面的に禁止した。中国の対日輸出の約40%が対象となる可能性がある。また、日本の自動車産業の基盤であるレアアースの輸出規制強化もほのめかし、東京への圧力を強めた。ジクロロシランに関する調査の発表があったのはその数時間後だ。
一連の動きは、高市早苗首相の台湾有事を巡る発言に対する習近平国家主席の圧力キャンペーンが、まだ始まったばかりであることを示すものだ。
高市氏は、現時点では対応策を検討中だ。日本政府は中国の最新措置に抗議したが、報復措置は国内で反発を招く恐れがあり、控えている。日本の自動車メーカーは電気自動車(EV)生産で中国産部品に依存しているためだ。
アジアグループマネージングパートナーで元米国アジア上級外交官のカート・トン氏は「日本の中国政策への通常対応は、妥協の出口を探ることも、報復への急進も避けることだ。むしろ、中国が最終的に落ち着くのを辛抱強く待つことを目指している」と指摘した。
トランプ氏は、米国自身のレアアース供給を確保するため、中国との休戦を維持しようとしている。また、4月には北京で、習氏との首脳会談が予定されている。米国にとっても外交上微妙な時期だ。
一方、習氏と高市氏が顔を合わせる次の機会は、今年11月に深圳で開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議となる。従って、日本は今後数カ月、経済的に厳しい状況に陥る可能性が高い。
支持集め
東京大学の佐橋亮教授(国際政治学)は「日本の外交は従来、まず米国との関係を固め、その後で中国と向き合うという明確なパターンに従ってきた。だが、現状は全く異なる。米中関係は比較的良好なため、米国を介して中国と交渉するという古い手はもはや使えない」と指摘する。同氏は、「残された選択肢は実質的に二つだ。中国と真剣に外交を行うか、当面は手を引くかだ」と述べた。
世界第2位の経済大国・中国との関係が悪化する中、日本は米国に状況を伝えている。
高市氏は数日前、トランプ大統領と「極めて有意義な」電話会談を行い、今春に訪米する意向を表明した。中国が規制発表した後も、外務省の金井正明次官が米国側と協議した。日本側の声明によると、両者は「緊密な連携」を確認した。
中国も支持を集めようとしている。今回の輸出規制は、もう一つの主要な米同盟国である韓国と日本との間に亀裂を生じさせるよう、慎重に調整されたように見える。中国政府が措置を発表したのは、訪中していた韓国の李在明大統領が習氏と自撮り写真を撮影した数時間後のことだった。
影響不透明
事態がさらに悪化した場合、日本には対抗手段がある。日本は先端半導体製造に不可欠なフォトレジストなどの分野で、世界市場の約90%を掌握している。この分野で輸出規制が導入されれば、中国の半導体産業の成長には打撃となる。代替品を見つけるには数年を要する可能性があるという。
ただ、ガベカル・ドラゴノミクスの中国アナリスト、ティリー・チャン氏は「遮断可能なものは既に遮断済みだ」と指摘する。チャン氏は、むしろ非ハイエンド半導体製造装置を中国に大量販売する日本企業が、深刻な報復措置で打撃を受ける可能性があるとの見方を示した。
現時点では、措置の表現が曖昧なため、中国の輸出規制が日本経済に与える影響は不透明だ。コンサルティング会社トリビウム・チャイナのコーリー・コムズ副所長は「深刻だが、現時点では致命的な打撃ではなく、さらなる警告とみている」と述べた。
上海の復旦大学アメリカ研究センターの呉心伯主任は、中国のこれまでの外交的・経済的圧力は失敗に終わっており、より強力な措置が必要としている。同氏は「日本の軍事能力と防衛産業を制限・抑制し、台湾問題に介入する能力を奪うべきだ」と述べた。
原題:Xi Is Testing Japan’s Ties With Trump by Escalating Trade Battle(抜粋)
--取材協力:Jing Li、野原良明、Josh Xiao.
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.