(ブルームバーグ):トランプ米大統領は、デンマークの自治領グリーンランド獲得のために米国の軍事力を行使する可能性を排除していないとホワイトハウスが明らかにした。北大西洋条約機構(NATO)の同盟国であるデンマークとの緊張を高めるものだ。
米軍がベネズエラのマドゥロ大統領を排除後、グリーンランドを巡る問題が再び注目を集めている。
ホワイトハウスのレビット大統領報道官は声明で、グリーンランドを取得するという目標を達成するため、トランプ氏が多くの選択肢を検討していると表明した。
レビット氏はその中で、「トランプ大統領は、グリーンランドの獲得が米国の国家安全保障上の優先事項であり、北極圏地域で敵対勢力を抑止する上で極めて重要であることを繰り返し明確にしてきた」と指摘した。
その上で、「大統領とそのチームは、この重要な外交政策目標を追求するための幅広い選択肢について協議しており、最高司令官(大統領)の裁量の下で米軍を活用することは常に選択肢の一つだ」と説明した。ロイター通信は6日、レビット氏の声明について先に報じていた。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、ルビオ米国務長官は5日、議員への説明で、米国が軍事行動に出るとの見方を和らげ、侵攻が差し迫っているわけではなく、目標はデンマークからグリーンランドを購入することだと示唆したという。
トランプ氏がグリーンランドの支配を求める姿勢を再び強め、デンマーク政府やグリーンランド指導部は強く反発。こうしたルビオ氏の発言はレビット氏の声明と相まって、米国とデンマークおよびグリーンランドとの関係をさらに冷え込ませる可能性がある。
トランプ氏は政権1期目からグリーンランドを米国の一部とする可能性に言及してきたが、マドゥロ氏排除のための軍事作戦を実行して以降、発言のトーンを一段と強めている。
事態の打開を図るため、デンマークのラスムセン外相は、同国政府とグリーンランド自治政府がルビオ氏との会談を要請したと明らかにした。グリーンランドのモッツフェルト外相はフェイスブックへの投稿で、協議の目的は「グリーンランドに関する米国の強い発言について話し合うこと」だとコメントした。
ラスムセン氏は「われわれがこのような会談を望んでいるのは、議論の一部が何が何であるかについての誤解に基づいているとの印象があるからだ」と、議会の外交政策委員会後に記者団に語ったと地元メディアは報道。「米国側との会談を設定し、存在するかもしれない誤解の一部を解消しようとするのは理にかなうと考える」と話したという。
米国務省報道官は6日夜、北極圏で敵対勢力の活動が活発化していることを巡り、米国、デンマーク、NATOには共通の利害があるとした上で、米政府はグリーンランドの人々と米国の双方にとって有益となる商業的な関係を模索していると説明した。
これに先立ち欧州各国首脳は6日、共同声明を発表し、グリーンランドとデンマークの領土の一体性を尊重する必要があるとトランプ氏に警告した。欧州首脳はその中で、グリーンランドがデンマークの一部としてNATOの集団防衛の枠組みに含まれていることを強調し、北極圏の安全保障はNATO同盟国と協力して達成されなければならないと訴えた。
さらに、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの外相も6日、「国境の不可侵を含め、国連憲章および国際法の基本原則」を尊重するよう求める共同声明を発表した。
デンマークのフレデリクセン首相は5日、米国がグリーンランドを攻撃すれば、NATO同盟と「第2次世界大戦終結以降に築かれてきた安全保障体制」が終焉(しゅうえん)を迎えることになると警告していた。
それでも米政府当局者は、この問題を巡る強硬な発言を強埋める一方だ。ホワイトハウスのミラー大統領次席補佐官はCNNのインタビューで、「力が支配する」世界において、米国には領土を取得する権利があると述べた。
一方、ラスムセン氏は「これはもちろんわれわれが同意できることではない」と言明。「また、グリーンランドが同意するようなことでもない。そこは越えてはならない一線であるのは明確だ」と話した。
原題:Trump Won’t Rule Out Military Force to Acquire Greenland (2)、Trump and Team Discussing Options to Acquire Greenland: Reuters(抜粋)
(本文11段落目に米国務省報道官の発言を追加して更新します)
--取材協力:Justin Sink.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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