(ブルームバーグ):2026年の年頭にあたり、主要経済団体の代表がそろって経済の展望と課題を語った。共通して浮かび上がったのは、緩やかな成長軌道が続く一方で、国内投資や構造転換が不可欠という認識だ。日本経済団体連合会など経済3団体が6日、都内で記者会見を開いた。
経団連の筒井義信会長は、今年の国内経済は「緩やかな上昇軌道」と予想しつつ、「潜在成長率は0.6%程度であり心もとない」と指摘。企業収益を活用し設備や研究開発、人的投資を進める「投資けん引型経済」への転換が重要だと語った。
日本商工会議所の小林健会頭は、賃上げと設備投資の拡大を背景に「成長型経済への本格移行の年」と位置付けた。中小企業の投資意欲を引き出し、地方経済の活性化につなげるには、政府の支援も重要だと強調。大企業の海外再投資の流れを国内、特に地方に向け、内需拡大への好循環を構築する必要性を訴えた。
一方、経済同友会の山口明夫代表幹事は、人工知能(AI)のさらなる進化を背景に「高付加価値のソリューションを作り上げること」が成長のカギになると指摘。生産性向上により給与還元や投資につなげる好循環を目指すべきだとの認識を示した。
地政学リスク
年明け早々には、米軍によるベネズエラ空爆とマドゥロ大統領の拘束で、地政学リスクが顕在化した。日本は中国との間で関係が冷え込み、観光業や小売業にも影響が現れ始めている。国際通貨基金(IMF)が昨年10月に公表した26年の世界経済成長率は3.1%と、25年に比べほぼ横ばいだが、不透明感は拭えない。
日商の小林会頭は、世界経済は分断が進み不確実性が続く見通しだと指摘。各国が自国優先の政策を強め、グローバルな協調から乖離(かいり)する傾向が顕著になっていることがリスクになると懸念した。
- 日商の小林会頭
- 国際法の原則を尊重すべきだ
- ベネズエラの石油は、タールが多く、埋蔵量が多い割に生産量は多くなくコストが高い
- 生産量からして世界の1%を切っており影響はあまりないと思う
- 経団連の筒井会長
- 国際法に照らしてどうなのか検証が必要だ
- この問題がほかの地域に飛び火しないよう、各国が外交力を傾ける必要がある
- 日本経済の観点からみると大きな影響はないと思うが、日本政府にも邦人保護に万全を期していただきたい
- 日本鉄鋼連盟の今井正会長(日本製鉄社長)
- 米国とベネズエラの問題が他に波及しなければ鉄鋼に関してはあまり大きな影響がない
- 地球全体のリスクとならずに落ち着くことを期待する
日中関係
高市早苗首相の国会答弁を巡り悪化した日中関係について、小林会頭は対話の継続と戦略的互恵関係を深めるべく、対話の門戸を開いておくことが重要だと述べた。
- 野村ホールディングスの奥田健太郎社長
- 当社の中国のビジネスについて、大きな影響は出てないか限定的
- 早い時期から展開をしており、中国の潜在的な成長率、マーケットの規模感、重要性は変わらない
- 日中関係が早めに改善することを期待
- ANAホールディングスの芝田浩二社長
- 当社の年末年始実績は前年をクリアして増えている
- 今年2-3月の予約の入りを見ても大きな変化はなく影響は限定的
- 森トラスト伊達美和子社長
- 今年の訪日客数の見通しは、10%前後の伸びだとしたら4700万人くらいにはなるのではないか
- 昨年は前年比16%の伸びで着地したと予想
- 中国政府による日本への渡航自粛要請の影響は「さほど受けていないのが日本の観光の実情」
- 他の国、日本、中国の個人客はキャンセルが多くはないので埋め戻しができている
- 関西など中国の団体客や中国依存していたエリアに関しては影響が少し出ている
- 春節の予約への影響を懸念していたが、現時点で昨年の1.5倍のペースで予約が入ってきている
- 今年の訪日客数の見通しは、10%前後の伸びだとしたら4700万人くらいにはなるのではないか
日銀利上げ・為替の影響
- 日本製鉄の今井正社長
- 資金調達を含め中長期計画では一定の金利上昇は織り込んでおり、「今の日銀の政策は大きく方針が変わらない限りはあまり心配していない」
- 高市政権の政策を勘案し円安傾向が続いているが、「日米の金利差からいけば基本的には円高に振れておかしくない」
- 丸紅の大本晶之社長
- 金利差にいろいろな議論はあるが、日本の(利上げの)動きは当然あってしかるべきで極めて合理的
- 為替については、水準ではなくボラティリティーを管理することでビジネスは伸びていく、その点を当局にお願いしたい
--取材協力:長谷部結衣、佐野七緒、堀内亮.
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