日本銀行の植田和男総裁は25日、利上げによる金融緩和度合いの適切な調整は物価目標のスムーズな実現と息の長い成長につながるとの認識を示した。都内で行われた日本経済団体連合会審議員会での講演で語った。

植田総裁は、今後の金融政策運営について、現在の実質金利が極めて低水準にあることを踏まえると、日銀の経済・物価の中心的な見通しが実現していけば、経済・物価情勢の改善に応じて「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との見解を改めて示した。

他の発言

  • 現在の実質金利、極めて低い水準にある
  • 基調物価は緩やかな上昇傾向、2%に着実に近づいている
  • 企業の積極的な賃金設定行動が途切れる可能性は低い
  • 2%物価上昇前提になれば、賃金・物価上昇より強固・持続的に
  • ゼロノルムの世界に戻る可能性、大きく低下している

日銀は19日の金融政策決定会合で1月以来となる約1年ぶりの利上げ再開を全員一致で決めた。政策金利は0.75%と30年ぶりの高水準となったが、緩和的な金融環境は維持されると説明。経済・物価見通しが実現していけば、利上げで緩和調整を続ける方針を改めて表明し、政策正常化路線を堅持した。

一方で、景気を刺激も抑制もしない中立金利に関しては、会合後の植田総裁の記者会見を含めて、市場が事前に期待していたような踏み込んだ見解は示されなかった。日銀の政策対応が遅れるとの懸念が強まり、同日の市場では円安と長期金利の上昇が進んだ。

日銀の植田和男総裁

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