(ブルームバーグ):25日の日本市場では中期債が下落。この日行われた2年利付国債入札が弱めの結果となり、2年債利回りは1996年以来の高水準を更新した。一方、来年度の国債発行計画で減額されるとの一部報道を受けて超長期債は買いが優勢だった。株式は小反発、円は対ドルで155円台後半で小動きだった。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは2年債入札について、応札倍率、最低落札価格、テール(落札価格の最低と平均の差)と「良いところはなく、やや弱い結果だった」と語る。午前中に先回り買いにより金利が低下したことで買いづらさがあったと指摘。2、5年債は年明け以降も補正予算後の増発が意識されて、金利は上昇方向だろうと予想した。
債券
債券相場は、来年度国債発行計画を巡る報道を受けた需給改善期待から超長期債を中心に買いが先行。一方、2年債入札の結果発表後は中期債中心に軟化した。午後に行われた日本銀行の植田和男総裁の講演には反応薄だった。
2年債入札では、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が3.26倍となり、過去12カ月平均(3.65倍)や前回(3.53倍)を下回った。最低落札価格も99円92銭と市場予想(99円95銭)を下回り、大きいほど入札の不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は2銭2厘と前回(1銭2厘)から拡大した。
三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、発行計画に関する報道について「短期的には支援材料になるが、予算規模が増えているにもかかわらず発行が短期化すると、長い目で見た財政資金調達コストの不安定化につながるため、効果は一時的だろう」と話していた。
日銀の植田総裁は日本経済団体連合会審議員会で講演し「基調的な物価上昇率は全体として緩やかな上昇傾向をたどっており、2%に着実に近づいてきている」と述べた。小口氏は「講演に目新しい内容はなかった」としている。
新発国債利回り(午後3時時点)
株式
株式相場は小反発。年末年始の株高を見込むサンタクロース・ラリーへの期待や、新規失業保険申請件数で雇用市場の底堅さが示され、米国の主要株価指数が連日で最高値を更新したことが追い風となった。
TOPIXの約7割が上昇。電機や商社、医薬品、エンタメ関連株の一角などで買いが先行した。一方、銀行や保険などが下げに転じたほか、前日に上昇した一部の人工知能(AI)関連株で利益確定売りが膨らんだ。
きょうはクリスマスで市場参加者が少なく、材料も乏しい中、主要株価指数はマイナスに沈む場面があった。東証プライム市場で売買代金は概算で2兆9824億円。2023年12月28日以来の薄商いになった。
SBI証券の鈴木英之投資情報部長は、海外市場の多くが休みのため「日本株は方向感が出にくい」と指摘。富国生命保険の佐藤篤有価証券部長は「口先介入などを受けた最近の円高傾向もあって上値が重くなっている」と話した。
為替
外国為替市場の円相場は対ドルで155円台後半で推移。日本政府による円買い介入に対する警戒感が根強く、一時155円65銭に強含む場面もあった。植田日銀総裁が講演で利上げに前向きな姿勢をあらためて示したことも円の支えとなった。
植田総裁は講演で、利上げによる金融緩和度合いの適切な調整は物価目標のスムーズな実現と息の長い成長につながるとの認識を示した。あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは「新たな情報はなかった」が、「講演を受けて円安が再び進行すると年末に向けて警戒感が高まる可能性があっただけに、無難に終えて安心している」と述べた。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:石川英瑠.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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