トラスショックの“二の舞”懸念も?
小川彩佳キャスター:
2026年度予算案の約4分の1を国債、つまり借金で賄うということになります。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
まず認識しなければいけないのは、アベノミクスのデフレの状況下と全く違うということです。日銀が異次元の緩和をやめて、金利のある世界に戻ってきているわけですから、これから国債には必ず金利がかかってくるということで、利払いが財政を圧迫していくことになるわけですよね。
それにも関わらず、こうした放漫財政を続けていくと、どうなるかということで一つ参考になるのが、イギリスのトラス前首相が引き起こしたいわゆる「トラスショック」です。

トラス氏は50年来規模で最大の減税をして、拡張的な財政出動をしようとしましたが、財源がないということで、国債の下落・通貨安・株安の「トリプル安」になってしまい、45日で辞任に追い込まれました。
日本との違いとして、イギリスはすぐに首相を辞めさせました。一方で高市総理は非常に人気が高いので、このままズルズルいくと、(イギリスと)同じような状況になってしまうかもしれません。
ただ円安が進んでインフレが加速し、人々の暮らしも厳しくなれば、日本の会社などもどんどん外国に買われてしまいます。それで本当に保守なのかという気持ちも、出てくるかもしれません。
減税しても円安とインフレが進みますし、利上げをすると今度は財政悪化と経済失速、右に行っても左に行っても結局いろんな問題が出てきてしまいます。これがある種のアベノミクスの遺産と言ってもいいかもしれません。
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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済・社会思想
著書「人新世の『資本論』」