(ブルームバーグ):内閣府は24日公表した政府経済見通しで、2026年度の実質国内総生産(GDP)成長率を前年度比1.3%に上方修正した。強い経済を目指す高市早苗政権の下、減税や補助金など政府対策が内需を喚起し、今年度を上回る成長を見込む。
8月の年央試算で示した0.9%から引き上げた。内閣府は26年度について、所得環境の改善が進む中、「各種政策効果の下支えもあり、個人消費が増加する」と予想。危機管理投資・成長投資の取り組みの進展などにより「設備投資も伸び率を高める」としている。25年度はGDP統計の上振れを反映して1.1%と、8月試算から上方修正した。
26年度の個人消費は1.3%に上方改定。実質賃金の上昇や所得税が発生する「年収の壁」引き上げによる可処分所得の増加が消費を押し上げるとみている。設備投資は2.8%に引き上げ。個人消費増で企業収益が堅調な上、設備投資減税や補助金の効果で高い投資意欲が見込まれるとした。
積極財政を掲げる高市政権は先月、物価高への対応や戦略的投資を盛り込んだ20兆円超える大型の経済対策を決定。財源の裏付けとなる今年度補正予算はコロナ禍後で最大の規模となった。強い経済の実現に向け、こうした施策が経済成長につながるかが今後の焦点となる。
一方、26年度の外需寄与度はマイナス0.0%からマイナス0.2%に下方修正した。トランプ米政権の関税措置による輸出への悪影響は8月時点の想定より小さいものの、内需拡大による輸入の増加が外需を押し下げるとみている。
為替レートは11月平均の1ドル=155.2円を想定。8月試算の146.0円からは円安方向に振れている。内閣府の担当者は、原油価格が25年度から26年度にかけて下落しており、前回試算より円安が進んだことによる物価への影響は少ないと説明。企業収益や輸出を押し上げる方向に働いたという。
日本銀行は19日の金融政策決定会合で、日本経済の先行きについて「成長ペースは緩やかなものにとどまる」とし、従来の「成長ペースは伸び悩むと考えられる」から上方修正した。10月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、26年度の実質GDPの政策委員見通しの中央値は0.7%となている。
内閣府は先行きのリスク要因として、「海外経済の不確実性や金融資本市場の変動等の影響には十分注意する必要がある」とした。
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