(ブルームバーグ):ビットコインはクリスマスのにぎわいから取り残されている。株式などの伝統的な金融市場が年末相場の楽観ムードに包まれる一方、時価総額最大の暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは動意に乏しい。
足元のビットコイン相場は8万7000ドル近辺で推移。このところは8万5000~9万ドルの狭いレンジにとどまり、値動きの乏しい展開が続いている。
倦怠ムードが漂う前、ビットコイン相場は激しく揺れていた。10月初めには過去最高値を付けたが、その後の急失速で約30%下落。10-12月は四半期ベースで2022年4-6月以来の大幅安となる見通しだ。

市場は10月の急落後も立ち直り切れていない。売買高は低水準にとどまり、個人投資家による投機的な動きも後退している。米国の現物ビットコイン上場投資信託(ETF)は10-12月期に売り越しに転じ、これまで相場を押し上げてきた主要な原動力が失われた。
一方、他の市場は様相が異なる。米国株は典型的な「サンタクロース・ラリー」の時期を迎え、23日のS&P500種株価指数は過去最高値で引けた。ハイテク株などのモメンタム取引にとどまった個人投資家は、その恩恵を受けている。
金価格は最高値を更新し、初めて1オンス=4500ドルを突破した。年初来では70%余り上昇している。ブルームバーグがまとめたデータによると、金相場は1979年以来で最大の年間上昇率となる勢いで、過去約100年でみても2番目の高パフォーマンスとなる。
暗号資産市場の分析・調査を行うBRNのリサーチ責任者ティモシー・ミシル氏は「実物資産は長期的なヘッジとして資金を集めている一方、暗号資産は蚊帳の外に置かれている」と語った。

相場停滞の背景にはテクニカル要因もある。ビットコインは、今回のサイクルで重要な下値支持線となってきた365日移動平均を下回った。この水準を回復できていないことから、より深い調整局面に入るリスクが意識されている。
休暇シーズンで流動性が低下していることも、取引の鈍さに拍車をかけている。ただ、それ以上に重いのは、相場を支える明確な買い手が見当たらないことだ。
原題:Bitcoin Misses Out on Wall Street Cheer to Stall Near $87,000(抜粋)
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