ドルは年間ベースでここ8年で最も悪いパフォーマンスとなりそうだ。オプション市場は来年にかけ、ドルが一段安となることを示唆している。

ブルームバーグ・ドル・スポット指数は23日、一時0.4%下げ、10月前半以来の低水準となった。その後、米経済成長が7-9月(第3四半期)に予想外に加速したとの発表を受け、下げを縮小した。

年初来で約8%下げている同指数は、2017年以来の大きな年間下落率で今年を終える方向だ。

パイオニア・インベストメンツのパレシュ・ウパダヤ氏は、「弱気相場の継続が2026年の見通しだが、より穏やかな弱気だ」と指摘した上で、「こうした予測に対する最大のリスクは、米成長の例外的な戻りだ。23日発表された7-9月のGDP(国内総生産)は、そのリスクを浮き彫りにしている」と述べた。

 

米連邦準備制度が追加利下げに踏み切るとの見方がある一方、多くの主要中央銀行が緩和サイクルの終盤に近づいているとの見通しが、ドルの重しとなっている。12月に売られやすいというパターンもドルには逆風で、今月の下落率は1%を超える。

弱気バイアスは、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータにも表れている。最新統計によると、16日までの週に投機筋はドル安を見越したポジションに転じた。ドルに対し弱気となるのは10月以来だ。

オプション価格も一段とネガティブに傾いている。市場のポジショニングやセンチメントを示すリスクリバーサルは、オプション投資家がドルに対しここ3カ月で最も弱気になっていることを示している。

米証券保管振替機構(DTCC)のデータによれば、最近の為替取引ではユーロとオーストラリア・ドルが、ドル弱気見通しを主に裏付ける動きとなっている。

スイスクオートのシニアアナリスト、イペック・オズカルデスカヤ氏は23日公表のリポートで、「ドル見通しは引き続き明確にネガティブだ。ドルの強気予想はまれだ」とコメントした。

同氏は、財政規律を巡る懸念や貿易摩擦もドルの逆風になっていると説明。一方で、今後発表される経済指標が米連邦準備制度についてタカ派的な再評価を促した場合、ドルは急反発しやすいとも警告した。

原題:Dollar’s Worst Drop Since 2017 Has Further to Go, Options Signal(抜粋)

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