(ブルームバーグ):米資産運用大手のダブルライン・キャピタルは、フランスから英国、日本に至る一部の先進国で、社会的要求と拡大する財政赤字を巡り「衝突が生じつつある」と警告した。
ジェフリー・ガンドラック氏率いる同社でグローバル・ソブリン債チームを統括するビル・キャンベル氏によると、新興国市場で長年問題となってきた政局の不安定化と財政赤字の膨張が、いまや先進国でも投資判断に影響を及ぼし始めている。
キャンベル氏は23日のリポートで、途上国で繰り返し起きてきた「悪循環」に先進国の一部が陥りつつあると警告した。既存の給付制度や財政コストの増大が成長や公共支出の見通しを悪化させ、通貨安や金利上昇を招き、それがさらに社会不安や政治の不安定化を増幅させるという流れになりつつあるという。
同氏は「最近まで、先進国市場はこうした破滅的な循環をおおむね免れてきた」とした上で、「だが、潮目は変わった」と指摘。先進国市場を資金の安全な避難先と見なせなくなった新たな状況下では、先進国国債の機動的な配分調整が求められるとし、投資家は財政・政治リスクが高まる国における短期債へのエクスポージャーを抑える必要があると説明した。
その上で、「財政と社会的要求の板挟み状態にある先進国では、長期の借り入れコストは今後も上昇が続く可能性が高い。このため年限配分としては短期ゾーンに重点を置き、長期金利をアンダーウエートにすることが妥当だ」とキャンベル氏は述べた。
また、グローバル投資家が米国についても同様のリスクを認識して資金配分を見直す可能性があることから、ドルは「断続的」に下落すると予想した。
原題:DoubleLine Warns of ‘Brewing Collision’ for Developed Economies(抜粋)
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