(ブルームバーグ):トランプ米大統領は22日、米海軍が新たな「トランプ級」戦艦を建造すると発表した。長年にわたるコスト超過や遅延に見舞われてきた艦隊の近代化を進めるホワイトハウスの取り組みの一環となる。
トランプ氏が発表を行ったフロリダ州の私邸「マールアラーゴ」の会場には、「USSディファイアント」と名付けられた軍艦の想像図のポスターを掲示。別のポスターでは、自由の女神像のそばを航行する同艦のイメージ図が描かれていた。
大統領は自身の名前を冠した新型戦艦を発表したもので、2024年7月の暗殺未遂事件直後に見せた挑戦的なポーズとほぼ同じ姿で、トランプ氏が拳を突き上げる写真も配置されていた。
トランプ氏は米艦隊について「中には老朽化して疲弊し、時代遅れになったものもあるが、われわれは正反対の方向に進む」と述べた上で、「米海軍は私とともにこれらの艦の設計を主導する。私は非常に美的感覚のある人間だからだ」と語った。
米海軍は19日、レジェンド級カッターを基にした新型フリゲート艦の開発も進めていると発表していた。水上戦闘艦隊の規模が必要量の3分の1にとどまっている状況を立て直す。同艦はFF(X)と呼ばれ、バージニア州ニューポートニューズに拠点を置くHIIが建造する。
新型艦は米国の造船業を再生し、中国との競争を視野に小型艦艇の不足を補うことを目的としたトランプ氏の「ゴールデンフリート」構想の一環だ。世界の造船の約53%は中国で行われている。一方、米国が建造する船舶は世界全体の0.1%に過ぎないと、米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は最近の分析で指摘した。
米国が戦艦を建造したのは1940年代が最後で、それ以降は大型砲を備えた戦艦ではなく、空母や小型の駆逐艦、長距離ミサイルを搭載した艦艇の建造を選択してきた。トランプ氏はまず2隻から着手し、最大25隻の建造を目指すと話した。
ただ、生産開始までには相当な時間がかかる可能性がある。トランプ氏が政権1期目に進めた新型フリゲート艦の建造計画は、大幅な遅延とコスト超過に終わった。当初は20隻を建造する計画だったが、費用の増大と生産の遅れにより、計画規模は大きく縮小された。
なおトランプ氏は他のプログラムにも自身を関連付けている。開発中の次世代ステルス戦闘機「F47」は、第47代大統領であることにちなんだ命名だ。このほか、米首都ワシントンの文化施設「ジョン・F・ケネディ・センター」の理事会は、「ドナルド・J・トランプ&ジョン・F・ケネディ記念センター・フォー・ザ・パフォーミング・アーツ」に施設名を変更することを決めた。
原題:Trump Announces New Class of Warship Named After Himself (1)(抜粋)
--取材協力:Courtney McBride.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2025 Bloomberg L.P.