中国の人工知能(AI)半導体大手、摩爾線程智能科技は、米エヌビディア製ハードウエアへの依存低減を狙った新世代の半導体を発表した。同社は数週間前に新規株式公開(IPO)を実施。規模は、中国本土では今年2番目の大きさとなった。

元エヌビディア幹部で、摩爾線程の最高経営責任者(CEO)の張建中氏は20日、北京で開かれた同社のイベントで、「これらの製品は、世界トップクラスの計算速度と能力を向上させ、あらゆる開発者が求める水準を実現する」とし、「中国のより多くの開発者のニーズに応え、国外の先端製品を待たずに済むようにしたい」と述べた。

中国当局が世界水準の半導体産業の育成を推し進める中、同国の半導体メーカーは大きな注目を集めている。エヌビディアに挑む国家チャンピオンが中国に登場すると、投資家は期待している。張氏によると、摩爾線程のアーキテクチャー「花港(Huagang)」は、計算密度を50%向上させ、エネルギー効率を10倍改善するという。

張氏はエヌビディアに14年間在籍した後、2020年に摩爾線程を創業した。新アーキテクチャーに基づく半導体は「華山(Huashan)」と名付けられ、エヌビディアの「ホッパー」や「ブラックウェル」と競合する位置付けになるという。

5日に上海に上場した摩爾線程は、初日に株価が一時500%を超える上昇となった。17日には、「中国のエヌビディア」と称される沐曦集成電路(メタX)が上場し、株価は初日に一時755%急騰した。

 

摩爾線程は当初、ゲームやビジュアルレンダリング向け半導体で収益を上げていたが、その後、AIソフトウエアの開発・運用に不可欠なアクセラレーターへと事業の軸足を移した。

同社はイベントで、コンピューティングプラットフォーム「MUSA」のアップデートも発表し、エヌビディアの「CUDA」に相当する存在として位置付けた。また数万個のAI半導体を接続できるサーバーも披露した。

原題:Ex-Nvidia Billionaire Unveils New AI Chips After China IPO Debut(抜粋)

--取材協力:Tian Ying.

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