三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は5000億円超を投じ、インド2位のノンバンクであるシュリラム・ファイナンスの株式2割を取得する方向で最終調整に入った。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

同関係者らによるとMUFGは今週中にも取得について発表する予定だ。シュリラムは商用車やトラクター、乗用車向けのローンのほか中小企業向けの融資を柱に、都市部から農村部まで幅広く事業を展開している。

高い経済成長が期待できるインドでは、日本の大手銀行グループによる現地金融機関への出資が相次いでいる。MUFGにとってインドはアジアへの展開における最後のピースだった。トップバンクの本格進出でインドを舞台にした日本勢の競争はさらに激しくなりそうだ。

Photographer: Prashanth Vishwanathan/Bloomberg

複数の関係者によると、最終的な出資額はシュリラムの株価次第で変動するため、5000億円からさらに上振れる可能性もあるという。MUFGによるシュリラム株の取得交渉を巡っては、現地のエコノミック・タイムズが10月に報じていた。シュリラムの株価は年初から約48%上昇している。

MUFGの広報担当者はコメントを控えた。シュリラムにもコメントを求めたが現時点で回答は得られていない。

MUFGの亀澤宏規社長は8月のブルームバーグとのインタビューで、インドでの出資戦略について、商業銀行に対する外資の参入規制が厳しいため、ノンバンクの方が可能性が高いと指摘していた。

もっとも、3メガ銀グループの戦略には違いもみられる。三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、7兆6000億円とインド有数の資産規模を誇るイエス銀行に約2900億円を出資して持ち分法適用会社にした。規制環境が厳しい中、当局などと交渉を続けて商業銀行への出資にこぎつけた。昨年には個人・中小企業向けノンバンクのフラトン・インディアクレジット(現SMFGインディア・クレジット)を完全子会社化した。過去数年で約7000億円を投じており、3メガ銀で最も積極的といえる。

三井住友FGは同国での戦略を加速するため、今年4月にインド本部を設立した。同本部の責任者に就任したラジーブ・カナン常務は11月のインタビューで「個人向け金融だけでなく、富裕層や資産運用でも大きなチャンスがあるとみている」と期待を示した。

みずほFGは個人向けではなく資本市場に目を向ける。複数の関係者によると、投資銀行のアベンダス・キャピタルを子会社化する方向で交渉を続けている。木原正裕社長は今月11日、ブルームバーグテレビジョンに出演し、「来年の早い時期」に交渉の進展が期待できるかもしれないと述べた。

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2025 Bloomberg L.P.