日本銀行は早ければ来年1月にも、保有する上場投資信託(ETF)の売却を開始する見通しだ。100年以上に及ぶ長期プロジェクトに着手する。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。

関係者によると、日銀は9月の金融政策決定会合で決定した方針に従って、ETFの市場への売却を少しずつ進めていく。発表では、簿価ベースで37.1兆円に相当する保有資産を年間3300億円ずつ売却する計画だ。単純計算では、完了まで約112年かかることになる。

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日銀は、2000年代に金融システムの安定を目的に銀行から買い取った株式を売却した際と同様に、市場に影響を与えないように進める考えだと関係者は指摘した。当時の株式売却は約10年かけて行われ、金融市場を混乱させることなく今年7月に完了した。

日本銀行本店

日本株の上昇に伴い、日銀が保有するETFの時価総額は急増している。25年度上期決算では、9月末時点での市場価値は83.2兆円と簿価の2倍以上に達した。

関係者によれば、日銀は毎月一定のペースで売却を進める見通しだ。市場への影響を最小限に抑える姿勢に変わりはない。ただ、08年の世界金融危機のような事態が発生した場合には、ETFの売却を停止する可能性があるという。

日銀は今月1日、保有ETFの売却を三井住友信託銀行に委託すると発表した。

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