(ブルームバーグ):日本銀行が15日発表した企業の2026年度「賃上げスタンスの動向」によると、大半の先では高い伸びとなった今年度並みとの回答となった。異例のタイミングの公表で、市場で織り込みが進む今月利上げを後押しする材料となる。
日銀が今月初め時点に実施した調査結果では、25年度から「横ばい」との回答が29、25年度を「上回る」と「下回る」がそれぞれ2となった。本店と32支店を通じて情報収集した。日銀が賃上げに関するヒアリング情報を、四半期ごとの地域経済報告(さくらリポート)などとは別に公表するのは初めてとみられる。
植田和男総裁は1日の講演で、18、19日に予定されている金融政策決定会合で「利上げの是非について、適切に判断したい」との考えを表明した。特に来年春闘に向けた初動のモメンタム(勢い)の確認が重要とし、「本支店を通じ、企業の賃上げスタンスに関して精力的に情報収集しているところだ」とも述べていた。

植田総裁の講演以降、今月会合での利上げ観測が高まり、金融市場の予想は足元で94%に達している。日銀は政策判断で重視する来年度の賃上げ動向も高水準が見込まれることを会合前に示し、今月利上げに向けて着々と布石を打つ形となっている。
25年度の企業収益については、米国の関税引き上げの影響などもあって顕著な改善を見込む先は多くはないという。ただ、人手不足感の強い状態が継続する下で、従業員の係留・士気向上の観点から、26年度も25年度と「同程度ないし世間相場並みの賃上げを行う必要がある」と考える企業が大半を占めているようだとしている。
連合によると25年春闘の平均賃上げ率は5.25%と34年ぶりの高水準となった。26年春闘の闘争方針でも3年連続「5%以上」の賃上げ目標を掲げた。経営側も賃上げの力強いモメンタムのさらなる定着を図る考えを示している。高市早苗首相は11月の政労使会議で、過去2年と遜色ない水準の賃上げ実現へ労使代表に協力を要請した。
日銀が15日に発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)は堅調な内容となった。企業が想定する消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率が平均で1年後、3年後、5年後がいずれも2.4%となった。2%超の水準が続いており、企業のインフレ期待も2%程度で定着しつつあると言える。
(詳細や説明を追加して更新しました)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2025 Bloomberg L.P.