(ブルームバーグ):ChatGPTの登場で世界が人工知能(AI)への高揚感に包まれてから3年、投資マネーはAIに流入し続けているが、良い時代がいつまで続くのか懐疑的な声も増えている。最近の株式市場ではエヌビディアの下落や、AI関連の支出増大を発表したオラクルの急落などがあった。
投資家はバブルがはじける前にAI関連投資を抑えるか、それとも技術革新に賭けるかを議論している。
キャロダイン・キャピタル・マネジメントのジム・モロー最高経営責任者(CEO)は「今が見極めの時期だ」と語る。AI開発のコストや、消費者がそのサービスに本当に金を払うかは、市場の将来に大きな影響を与える。
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S&P500株価指数がこの3年間で30兆ドル(約4674兆円)の時価総額を積み上げてきた強気相場は、アルファベットやマイクロソフトなどの巨大ハイテク企業に加え、エヌビディアやブロードコムなどAIインフラ銘柄、電力供給のコンステレーション・エナジーが主導してきた。
バリュー・ポイント・キャピタルのプリンシパル、サミール・バシン氏は「これら銘柄の株価は、成長率が下がったときに調整に入るのではない」と指摘。「成長率がこれ以上加速しないときに、調整は起きる」と述べた。
一方で巨大テック企業は潤沢な資金を背景に、今後何年も投資を継続する構えだ。OpenAIは今後数年で1兆4000億ドルの支出を予定し、これまでにソフトバンクグループなどから400億ドルを調達している。しかし新興メディアのジ・インフォメーションによれば、OpenAIのキャッシュフローがプラスになるのは2030年以降であり、2029年末にかけて1150億ドルを燃焼する見通しだ。エヌビディアも9月に1000億ドルの投資を約束したが、業界の資金循環構造には懸念が出ている。
オラクルはクラウドサービスの契約を積み上げる一方で、データセンター建設のために巨額の債券を発行。債務負担が懸念される中、11日に株価は急落し、売りは翌日の市場でAIインフラ関連銘柄に波及した。
オラクルの広報担当者は、債務返済と将来の事業拡張計画に対する同社の自信に変わりはないとの声明を出した。
アルファベットとマイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズは向こう12カ月に4000億ドルを超える設備投資を計画しており、その大半がデータセンターに投じられる。これら企業が見込むAI関連収益は、その支出に大きく及ばない。
ジョーンズトレーディングのチーフ・マーケット・ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「成長予測の停滞や減速があれば、市場はこれを『問題』と見なすだろう」と述べた。
この4銘柄にアップルとエヌビディア、テスラを加えた「マグニフィセント・セブン」の増益率は、ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめたデータによれば2026年に18%と、過去4年で最低水準になる見通しだ。データセンター投資による減価償却費の急増が利益を圧迫するとみられる。
支出に対する最大の懸念は、それに反映される戦略シフトだろう。かつては低コストで収益化を達成できる身軽さが巨大テックの魅力だったが、AIへの投資はそれを根底から覆す。ジョーンズトレーディングのオルーク氏は「収益化に失敗すれば、この方向転換は大失敗だったということになる」と警鐘を鳴らした。
AI関連株のバリュエーションは高いとはいえ、過去の熱狂時ほどではない。ブルームバーグのデータによれば、ナスダック100指数は予想利益の26倍で取引されており、ドット・コム・バブル時の80倍超とは大きく異なる。
ブラックロックのグローバル最高投資責任者(CIO)、トニー・デスピリト氏は「ドット・コム時代のマルチプルではない」と指摘。「AI関連銘柄に投機や根拠なき熱狂が全く見られないわけではない。そういった熱狂は確かにある。しかしマグニフィセントセブンのAI銘柄にはないようだ」と述べた。
パランティア・テクノロジーズは予想利益の180倍超、スノーフレークは140倍近くと、極端なバリュエーションだが、エヌビディアやアルファベット、マイクロソフトはいずれも30倍未満で、周囲の熱狂に比べればかなり抑えられている。
バリュー・ポイントのバシン氏は「2000年のような崩壊ではなく、投資銘柄の入れ替えが起きるだろう」と述べた。
原題:Wall Street Sees an AI Bubble Forming and Is Gaming What Pops It(抜粋)
--取材協力:Ryan Vlastelica、Carmen Reinicke.
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