(ブルームバーグ):2025年終盤の世界の金融政策決定は、先進国で利下げサイクルが新たな勢いを欠くか、あるいは実質的に終了したことを浮き彫りにする見通しだ。
年初には先進国で限定的ながらも連続的な利下げが見込まれていたが、その勢いは年末にかけて失速する方向だ。各国・地域の中央銀行は、これまでの取り組みが成長やインフレにどう作用しているかを見極める段階に入っている。
そうした背景には、米連邦準備制度が10日、0.25ポイントの利下げを決めた後、さらなる引き下げを巡る見通しが不透明なことがある。トランプ米大統領の関税措置に対し、世界経済が想定以上の耐性を示しているとの見方も影響している。

18日と19日に予定される金融政策決定では、イングランド銀行(英中央銀行)で予想される利下げが特に注目を集めそうだ。利下げ局面で最後の動きになるかを見極める手がかりとして、市場は結果を注視している。
一方、欧州中央銀行(ECB)は成長率予測を上方修正する見通しで、5月以降続けてきた、一時的な据え置き姿勢が定着するとみられている。ラガルド総裁への質疑応答では、利上げへの転換時期が焦点となりそうだ。
他の欧州4カ国の中央銀行は金利据え置きが見込まれている。一方、日本銀行は利上げが広く予想されている。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のデービッド・パウエル、シモーナ ・デッレキアイエ両氏は「ECBのセンチメントを指数化したBE独自の『ECBスピーク指数』は、タカ派に勢いがあり、12月会合で彼らが望む金利据え置きが確実に実現することを示唆している」と分析している。
先進国の政策がシフトするとの見方がある一方、他地域の方向性はより不透明だ。メキシコやタイなど複数の中央銀行は利下げサイクルを継続する見通しだ。
このほか、中国で複数の経済指標、英国やカナダのインフレ率、米国の雇用統計、ブラジルの成長率などが注目材料となる。
米国では、10日の利下げ決定に続き、16日に発表される11月の雇用統計が、2026年の金利見通しを左右する新たな材料となる。
エコノミストの間では、非農業部門雇用者数が5万人増、失業率は4.5%が想定されている。予想通りなら、低調ながら急速な悪化はみられない労働市場の状況と整合する内容となる。
原題:Rich World’s Rate-Cut Momentum Is Fading Away: Eco Week Ahead(抜粋)
--取材協力:Beril Akman、Anthony Halpin、Isobel Finkel、Brian Fowler、Laura Dhillon Kane、Vince Golle、Monique Vanek、Robert Jameson、Mark Evans、Ott Ummelas、Charlie Duxbury.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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