(ブルームバーグ):トランプ米大統領は、オバマ元米大統領とミシェル夫人を類人猿として描いた人種差別的な動画を自身のSNSから削除した。この動画を巡っては、上院共和党で唯一の黒人議員であるティム・スコット氏を含め、共和・民主両党から批判が相次いでいた。
トランプ氏は5日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、1170万人のフォロワーに向けてこの動画を再投稿した。動画では、バイデン前大統領が勝利した2020年大統領選を巡り、激戦州で投票機に問題があったとする根拠のない主張が語られていた。
動画の最後の数秒では、口を開けたオバマ夫妻の顔写真が類人猿の体に合成され、ジャングルを背景に「ライオンは寝ている」が流れる中で左右に跳ね回る様子が映し出される。こうした映像は、黒人に対する何世紀にもわたる人種差別的な固定観念を想起させる。
この投稿に対してスコット氏をはじめとする共和党議員や民主党議員、さらには公民権団体からも削除を求める声が上がり、動画は6日に削除された。
投稿を削除するという決定は、ホワイトハウスとしては異例の後退を意味する。レビット報道官はわずか数時間前まで、この投稿を擁護し、報道した記者らについて「作られた憤り」を生み出していると指摘していた。
レビット氏は声明で、「これはトランプ大統領をジャングルの王として、民主党を『ライオン・キング』の登場人物として描いたインターネットのミーム動画だ」と説明し、報道機関に対し、「米国民にとって本当に重要なことを報じて欲しい」と求めた。
その後ホワイトハウスの当局者は電子メールによる声明で、深夜に行われたこの投稿は、職員により誤って掲載されたものだと説明した。
非公開の協議内容だとして匿名を条件に語った別の当局者によると、トランプ氏はこの動画を見ておらず、投稿されたことに不満を示していたという。ホワイトハウス職員も同様に憤っているとしつつ、通常は大統領のSNS運営を支援している長年の側近ダン・スカビノ氏が、今週は新婚旅行で不在だったことも影響したと説明した。
それでも、この投稿は削除されるまで約12時間にわたり、大統領のアカウント上に掲載され続けていた。
レビット報道官が声明を出してから数時間後、スコット議員はXに投稿し、トランプ氏に動画の削除を強く求めた。
「フェイク(偽物)であることを祈っている。これまでこのホワイトハウスから出てきた中で、最も人種差別的なものだからだ。大統領はこれを削除すべきだ」とスコット氏は記した。
トランプ氏の長年の盟友であるスコット議員が公然と批判するのは異例だ。2024年には、両氏は共和党の大統領候補指名を巡って一時競い合ったが、スコット氏は最終的に選挙戦から撤退。その後、トランプ氏の副大統領候補になる可能性も取り沙汰された。
スコット氏は上院共和党の選挙対策組織を率いる立場にあるほか、トランプ氏が米連邦準備制度理事会(FRB)議長に指名したケビン・ウォーシュ氏を審査する銀行委員会の委員長も務めている。
トランプ氏の投稿は、共和党のマイク・ローラー下院議員からも非難された。ローラー氏は「間違っており、信じ難いほど不快だ」と述べた。ニューヨーク州選出の同議員は、再選を目指す選挙を11月に控えている。

このほか共和党のロジャー・ウィッカー、スーザン・コリンズ、ピート・リケッツ各上院議員からも、この動画に対して非難の声が上がった。
原題:Trump Removes Racist Meme of Obamas After Bipartisan Rebuke(抜粋)
(動画が削除されたことを受けて、全体を更新します)
--取材協力:Catherine Lucey.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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