(ブルームバーグ):ベラルーシのルカシェンコ大統領は、拘束していた政治犯など123人の釈放を命じた。この数時間前には、米国の特使であるジョン・コール氏がベラルーシのカリ産業への制裁を解除すると発表していた。
ルカシェンコ大統領は、特使との2日間の協議を経て恩赦を与えた。

人権団体ビアスナによると、13日に釈放された人の中には2023年に禁錮10年を言い渡されていたノーベル平和賞受賞者アレシ・ビャリャツキ氏らが含まれている。
またNHKは、ベラルーシ日本大使館の話として、同国で拘束されていた元日本語講師の中西雅敏さんも13日に釈放されたと報じた。
ウクライナのゼレンスキー大統領はXへの投稿で、米国がとりまとめた今回の取引で釈放された人の中にウクライナ人5人も含まれていると明らかにした。
ルカシェンコ大統領はロシアのプーチン大統領と親密な関係にあり、2022年、ロシア軍がベラルーシ領からウクライナへ侵攻することを許可していた。
トランプ氏は先月、自身の元弁護士であるコール氏をベラルーシ担当の特使に任命。同国との関係改善を模索している。
カリはベラルーシの主要輸出品の一つであり、同国が豊富に産出できる唯一の鉱物資源でもある。米国は2021年、同国のカリ供給大手ベラルスカリを制裁対象に指定。その後、ベラルーシはカリの販売経路をロシアに切り替え、ルカシェンコ大統領のロシアへの経済的依存度は一段と高まった。
カーネギー・ロシア・ユーラシア・センターのArtyom Shraibman非常勤研究員は「ロシア市場でベラルーシ製品の販路が縮小し、競争が激化する中で、ベラルーシは西側諸国と一定の関係修復を目指すことに価値を見いだし始めている」と述べた。
ただ、欧州連合(EU)が独自の制裁措置を解除しない限り、米国の制裁解除だけでは、ベラルーシのロシア依存を低減する効果は乏しいとみられる。
コール氏は同国の首都ミンスクで、米国によるカリ制裁解除はベラルーシにとって望ましい展開であり、米国とベラルーシの関係が正常化すれば、さらに多くの制裁が解除されるだろうと記者団に述べた。
原題:Belarus Frees 123 Political Prisoners as US Lifts Potash Ban (1)(抜粋)
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--取材協力:Eric Martin、Agnieszka Barteczko.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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