(ブルームバーグ):インドでの新規株式公開(IPO)を通じた公募・売り出し規模が今年、1兆7700億ルピー(約3兆円)に達し、年間記録を更新した。新規上場株への旺盛な投資家需要を取り込もうと、IPOが相次いでいる。
ブルームバーグがまとめたデータによると、今年のIPO規模は昨年記録したこれまでの年間最高額1兆7300億ルピーを上回った。ICICIプルーデンシャル・アセット・マネジメントによる12億ドル相当の案件を含め、今月16日までに5件の公募・売り出しが終了予定で、総額はさらに積み上がる見通しだ。
こうしたIPO規模の急拡大は、インドの資本市場が主要な資金調達拠点として成熟しつつあることを示している。個人投資家の裾野拡大に加え、流通市場の勢いが鈍る中でも続く機関投資家の需要安定が後押ししている。
インド政府は企業にとって上場しやすい環境の整備を進めており、一連の大型案件は企業が強い需要を捉えている構図を浮き彫りにしている。

外国の機関投資家は、インドの成長見通しと比較的安定した政策環境に引き寄せられており、株式公開が記録的水準に増える中でもIPOへの積極姿勢を崩していない。これにより、中堅メーカーやテクノロジー主導の企業など幅広い業種の企業が、高水準のバリュエーションで資金調達を進めている。
アショカ・ホワイトオーク・キャピタルで新興国担当CIO(最高投資責任者)を務めるヒレン・ダサニ氏は「流通市場でのリターンはここ1年ほど低調だが、公募・売り出し市場の活動は非常に堅調で、市場の厚みが増していることを示している」と述べた。
熱気の高まりにはリスクも伴う。過度なバリュエーションが上場後の株価低迷につながっている企業もある。
ブルームバーグがまとめたデータによると、今年これまでに上場した300社超の約半数が、IPO価格を下回る株価となっている。今年最大のIPOとなったタタ・キャピタルに加え、JSWセメントやウィーワーク・インディア・マネジメントなどがそうした企業の一角だ。
原題:India’s IPO Fundraising Hits Record as Investor Demand Swells(抜粋)
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