学歴社会で「教育格差」も深刻な韓国。放課後の過ごし方が子どもの将来を決定づけるとも言われる中、韓国は格差の是正に取り組み始めています。
バスから降りてきたソウル市内の小学1年生たち。この時間は放課後です。ここは子どもたちを預かる「学童」のような場所ですが、日本とは異なります。
先生
「大きな声で挨拶してみよう」
「気を付け、挨拶、こんにちは、アニョハセヨ~」
1年生が取り組むのは陶磁器づくり。日本ではお金がかかる「体験」や「習い事」が、韓国では公的なサービスとして無料で提供されています。
「(Q.誰に作っているの?)おばあちゃんに。一緒に使うつもり」
専門的なろくろの体験まで。
「ろくろの感じが柔らかくていいです。(Q.やったことある?)初めてです」
指導するのはソウル市が雇った外部のプロ講師。体操や料理など、毎日さまざまな専門プログラムがあり、すべて「無料」です。
富裕層と低所得層の「習い事」代の差が一時5倍に広がるなど教育格差が深刻な韓国。放課後の過ごし方が子どもの将来を決定づけるとも言われる中、韓国はこの格差を是正しようと、おととしから予算を確保し、今年はおよそ350億円を投じています。
保護者
「無料なのは保護者の立場として非常にありがたい」
さらに…
記者
「今、子どもたちは無料のプログラムを受けているのですが、その質も管理されています」
この日行われていたのはK-POPダンス。教室の後ろでメモを取るのは、プログラムを開発した大学の教授です。教授は年に2回モニタリングを実施し、指導内容や安全性をチェックします。
西京大学 文化芸術学科 ホ・スヨン教授
「授業の導入・展開・まとめ方がきちんと行われているのか、またはこれらを準備する過程で子どもの年齢に合わせているのかなどをチェックしています」
プログラムが終わると、講師にフィードバック。
西京大学 文化芸術学科 ホ・スヨン教授
「ダンスをするときはマスキングテープを貼ってください。子どもたちの間が狭いと、けがをするかもしれません」
こうした「放課後ケア」について、ソウル市教育庁のトップに聞きました。
ソウル市教育庁 チョン・グンシク教育監
「塾に行けない子どもたちがかなりいるのですが、その子どもたちがここに参加できるので、教育格差の解消に非常に肯定的な効果があると言えます。(無料プログラムは)小学3年生まではしなければならないと思います」
「格差なき学びの場」に。韓国では、深刻な格差を是正するため、放課後も変わってきています。
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