避難した住人「全てを失った」

香港のマンション火災から1週間。3日、当局は死者が159人になったと発表し、いまも31人と連絡がとれていません。
人的被害はなぜ拡大したのか。これは出火直後、火元となった建物の15階に設置された防犯カメラの映像です。
男性
「誰かいますか?」
火災に気づいた男性は、他の住人に避難を呼びかけます。
男性
「あれ!どうして鳴らない。逃げよう」

火災報知器のボタンを押しますが、反応しません。男性は急いでエレベーターで1階へ…。
その数分後。火元となった建物の2階に、妻と2人の子どもと暮らしていたウィリアム・リーさん(40)。発生から11分後、外出中の妻からの連絡で火災に気が付いたといいます。

ウィリアム・リーさん
「警報音は一切鳴りませんでした。ドアを開けると煙が充満して、私の顔に向かってきたのです」

窓の外では、燃え上がる炎が確認できます。
リーさん
「全部真っ暗だ。煙が充満している。消防士を待っている。もうドアを開けることができない」
緊迫した妻とのやりとりも残っています。
リーさんの妻
「出てきたらすぐに教えて!」
リーさん
「落ち着いて。そんな状態でどうやって僕を助けられるの?」
リーさんの妻
「家に誰もいないなら冷静になれるけど、家にあなたがいるのにどうやって冷静になれるのよ!」
火災発生から2時間後、リーさんは助け出されました。
リーさん
「すべてを失ったので、正直なところどうすれば良いか分かりません。この現実をまだ直視できていません。すべての思い出に対して、無念で悲しくて仕方がありません」
警察は“マンションの修繕工事中に火災報知器は止めない”と消防署に虚偽の申告をした疑いで、消防設備会社の男6人を逮捕しました。工事に関連する逮捕者はあわせて21人となりました。