責任追及を“締めつけ”か…市民は?

藤森祥平キャスター:
深い悲しみが広がって途方に暮れる人々の中には、政府に対して厳しい目を向ける人たちが増えているように感じます。いかがですか。
上海支局 高田裕介記者:
私は、火災現場となったマンションのすぐ近くにいます。この時間でも多くの方が献花に訪れているのが確認できます。
火災発生から1週間経過しました。住民らに話を聞くと「前を向かないといけないのは分かっているが、虚無感に襲われている」と話していました。一方で、工事業者はもちろん、政府にも責任を求める声は上がっています。

藤森キャスター:
先月の29日に署名活動をした男性が逮捕されたり、火災を利用して扇動を企てた疑いで元区議の男性とボランティアの女性が逮捕されました。現場にいても当局の締め付けはじわじわと感じますか?
上海支局 高田記者:
そうですね。民間のボランティア団体が食料や支援物資を配布する活動をしていましたが、それを警察が突然中止にする事態も起きています。背景には政府が、反体制派が紛れ込んで分断工作を行うことを警戒しているのではないかという見方もあります。
トラウデン直美さん:
火災に対して粛々と対応すればいいものを、なぜわざわざ弾圧や締め付けなど、印象を悪くすることをしてしまうのでしょうか?
上海支局 高田記者:
政府はとにかく、反政府デモに繋がる行動を押さえつけたいという思いが強いのではないかと思います。

6年前に大規模な反政府デモが起こり、翌年、2020年に香港国家安全維持法が施行されて以降、反政府的な活動への取り締まりが強化されました。今、民主派に近いメディアや政治団体が次々と解散に追い込まれて、“言論統制”が非常に進んでいる印象です。中国を意識した統制というか、年々、中国化が進んでいるということが言えると思います。
こうした香港の姿を見てなのか、事実上の亡命を宣言して現在はカナダにいる民主活動家の周庭さんは3日、SNSを更新して「正義がいつか訪れますように」という投稿もしています。
藤森キャスター:
いずれにしても、深い悲しみにある皆さんの、これからの支援、そして真相解明がどこまで進むのか。このあたりは引き続き注目していかなければいけません。