(ブルームバーグ):ドイツ連邦統計庁が28日発表した11月の消費者物価指数(CPI、EU基準)は、前年同月比2.6%増と9カ月ぶりの高水準に上昇した。12月の欧州中央銀行(ECB)の政策委員会会合を前に、物価安定へのリスクが残っていることが改めて示された。
ブルームバーグが調査したエコノミストの予想中央値は、2.4%の小幅上昇だった。
ブルームバーグ・エコノミクスのマーティン・アデマー氏は、今月のドイツのインフレ率上昇は、パッケージツアーと燃料費の上昇が要因の可能性が高いと指摘した。それでも同氏は「より広範な傾向としては、着実なデフレが進んでいる」との見方を示し、ドイツのインフレ率は2025年平均で2.3%、2026年は2%未満で推移すると予想した。
同日発表されたフランスのCPIは、前年同月比0.8%増と横ばいだった。アナリストらは1%の小幅上昇を見込んでいた。
フランスでは、エネルギーコストの低さにより、インフレ率が年間を通じて1%近辺で推移している。11月のデータでは通信サービスの価格が低下し、工業製品の価格の下落幅がさらに拡大した。
イタリアのCPIは同1.1%増に低下した。予想は1.3%の横ばいだった。スペインも同3.1%増に下落した。

12月2日に発表されるユーロ圏20カ国のインフレ率は、10月の2.1%から横ばいと、ECBが目標とする2%に近い水準にとどまる見通しだ。
28日に発表されたECBの調査によると、ユーロ圏の今後12カ月間の消費者期待インフレ率は、前月の2.7%から、10月調査では2.8%に上昇した。3年先と5年先の期待インフレ率は、ECBの目標を上回ったものの、前回と変化はなかった。
ドイツの11月消費者物価指数:
注:季節調整前。
出所:ドイツ連邦統計庁
原題:French Inflation Unexpectedly Steady as Spain and Italy Slow、German Inflation Jumps to Nine-Month High as ECB Ponders Outlook(抜粋)
(ドイツのCPIを加え更新します)
--取材協力:Mark Schroers、Alexander Weber、Ainhoa Goyeneche、Joel Rinneby、市倉はるみ、Barbara Sladkowska.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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