財務省が27日に開いた国債投資家懇談会、国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)会合で、参加者から来年度国債発行計画について短中期・長期債は増額余地があるとの意見があった一方、超長期債には減額を要望する声が上がった。同省幹部が会合後に明らかにした。

財務省によるPDや投資家懇談会参加者からの意見聴取は、高市早苗政権が新型コロナ禍後では最大規模となる2025年度補正予算案を検討し、さらに来年度国債発行計画の策定に向けた議論を開始するのに当たり行われたものだ。財政拡張への警戒から、今月に入り新発30年国債や40年債利回りは過去最高水準に達していた。

今回参加者からは、中長期債について今後の利上げ見通しに依存する部分はあるが、銀行などからの投資需要で一定の増額余地があるとの見方が示された。短期債は海外投資家の需要や担保ニーズで需給が逼迫(ひっぱく)しやすく、増額余地があるとの意見が出されたという。

これに対し、超長期債には現在の市場動向や生命保険会社の需要減退を踏まえ、減額が妥当との見解が示された。中でも30年債は現状、オフザラン(既発債)の入れ替え需要が中心であり、カレントだけでなく、全体で見ると需要が緩んでいるとの意見が多く聞かれた。

現在は毎年12月に策定している国債発行計画を巡っては、11月4日に開かれた「国の債務管理に関する研究会」で三菱UFJモルガン・スタンレー証券が示した半期に1回の評価を行う仕組みにすると安定消化に資するとの提案に対し、参加者から前向きな意見が聞かれたと同省幹部は説明した。

予見可能性を高めることは計画的な国債投資を進める上で重要であり、市場とのコミュニケーションとのバランスが大事との意味合いからも、半年ごとに定期的な評価を図るなら是非行ってほしいとの意見があったと言う。

国内債券市場の関係者は、政府による今年度補正予算の正式決定や来年度予算の策定を控え、全体の国債発行規模や追加発行される年限の詳細などに注目している。政府は28日に税収上振れ分などでは足りない約11兆7000億円分を新規国債の増発で賄う今年度補正予算案を閣議決定する予定だ。

財務省は12月12日に再びPD会合を開き、来年度国債発行計画についてさらに議論を進める。

 

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