(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)は26日、半年に1度の金融安定報告書を発表し、欧州の金融安定性に対するリスクが「高まっている」と指摘した。過度に上昇した資産バリュエーションにより急激な調整が生じる恐れがあり、一部の国では財政課題が投資家の信頼を揺るがす可能性があるとしている。
ECBは、金融安定報告書で「例えば、成長見通しの悪化や人工知能(AI)導入に関する失望的なニュースにより、市場心理が急変する可能性がある」と指摘した。一部の先進国での高水準な公的債務への懸念が、世界的な債券市場に負担をかける可能性があるとも警告した。こうした要因により、国際的な資本移動が変化し、通貨への衝撃となる恐れがあるという。
世界中の中央銀行や規制当局が、史上最高水準の株価、増加する公的債務、貿易不透明感の継続を背景に、このところ警告している金融安定リスクの高まりを、ECBの報告書も反映している。
特にAI関連企業株の急騰は、急激な調整を懸念する当局者の注目を集めている。最近では投資家も、AI関連技術への投資規模に疑問を抱き始めており、S&P500種株価指数は今月、月次ベースで4月以来初の月間下落となりそうだ。
ECBは「持続的な高いバリュエーションと株式市場の集中化」が、急激な価格調整の可能性を高めると強調した。
ただ、ECBのデギンドス副総裁は、記者会見で「これはドットコムバブルとは同一ではない」と強調した。同氏は、企業には「非常に明確な事業計画」と高い収益があり、「バリュエーションに疑問を持つことはあっても、バブルがあると言うのは、私たちの見解を正確に反映していない」と語った。
ECBは、報告書で「オープンエンド型投資ファンドの流動性ミスマッチ、ヘッジファンドの一部における高レバレッジ、プライベート市場の透明性不足が、市場ストレスを増幅させる可能性がある」とも述べた。
直近のリスク認識については、「フランスの財政基盤の悪化傾向に焦点が当たっている」と指摘した。フランスはユーロ圏2位の経済規模だが、財政赤字と債務負担の抑制に苦しんでいる。
また、複数の通商協定が結ばれたにもかかわらず、関税の長期的な経済・金融への影響や将来への懸念が、ユーロ圏の金融環境をなお形作っていると指摘した。
原題:ECB Warns High Valuations Boost Financial-Stability Risks (1)(抜粋)
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