「実態を調べて」規制強化に伴う懸念も 

小川彩佳キャスター:
売春の買い手側に罰則がないという問題について、国会でも議論になっています。

11月11日の衆議院の予算委員会で、有志の会の緒方議員が、「買い手側への罰則」の検討を高市総理に指示するよう求めました。そして高市総理は、その場で法務大臣に指示し、平口法務大臣は「必要な検討を行う」としました。

見直しは必要だと感じる一方、こうした罰則の強化、規制の強化によって、より売春行為自体がアンダーグラウンドに潜って見えなくなってしまうという懸念もあります。売り手となってしまった方たちに、しわ寄せが行くような形には進まないで欲しいなとも感じますが、真山さんはいかがですか。

小説家 真山仁さん:
やっぱり、買う側の規制強化をやるのは当然だと思います。日本だけではなく、世界的に「公娼制度」という、いわゆる売春行為をある場所だけ認めてきたという時代があって、それが全部禁止になった段階から、おっしゃる通り地下に潜り始めたわけですよね。

「性的サービス」という意味のわからない言葉になってしまって、何をやってるかよくわからないという問題は、何をもって買春・売春と言うのかを、もう少し明確にしなければならない。

ただ今回のタイの12歳の少女の場合は、未成年であり、観光ビザを平気で利用してやっているという問題。自分も小説でそうしたテーマを扱っていたので、世界的には非常に問題になっているんですよ。

スパイ小説や連続ドラマなどでは、この売春シンジケートが流れているようなことが、大々的に扱われていて。誘拐して、薬漬けにして売り飛ばすみたいな。これがエンタメに出てきているということは、相当深刻な広がりがあるということ。なぜか日本だけがこういうテーマがなかなか出てこなかったんですよ。

小川キャスター:
ようやく目に見える形で浮かび上がってきたと。

小説家 真山仁さん:
この子だけが「かわいそう」ではなくて、やっぱり何が起きているのかということを、日本も規制強化という話ではなく、まず実態を調べて欲しいです。

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<プロフィール>
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
近著に政治家のリーダーシップを描いた「アラート」