(ブルームバーグ):小泉進次郎防衛相は23日、台湾に近い沖縄県・与那国島の陸上自衛隊駐屯地を視察し、同島へのミサイル配備計画が順調に進んでいると述べた。台湾を巡っては日中政府間で緊張がくすぶっている。
小泉氏は視察後、ミサイル配備に関して「わが国への武力攻撃そのものの可能性を低下させることができる」と記者団に語った。地域の緊張を高めることになるとの見方は当たらないとの認識も示した。
日本政府は台湾の東約110キロメートルに位置する与那国島に、中距離地対空誘導弾を配備する計画を進めている。南西諸島における軍事力増強の一環で、中国の軍事力拡大と台湾を巡る衝突の可能性に対する日本の懸念を反映している。

高市早苗首相は7日の国会答弁で、台湾有事に関して、戦艦を使って武力行使も伴うものであれば、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得るケースだと考えると答弁。中国政府は強く反発している。
その後、高市氏は同事態になる具体的なケースには言及しないという政府の従来方針に戻ったが、中国側は撤回を要求し続けている。
小林麻紀内閣広報官は22日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューに対し、高市氏が台湾有事に関する日本の立場を変えたとする中国の主張を「全く根拠がない」として退けた。
台湾有事が与那国島に与え得る影響について問われた小泉氏は、「仮定を前提に置いた質問についてはお答えすることは差し控えたい」と述べるにとどめた。
2022年に当時のペロシ米下院議長が台湾を訪問した際、中国は台湾周辺で大規模な軍事演習を実施し、弾道ミサイルが与那国島の近海に落下した。同島が台湾有事の最前線に位置している状況を浮き彫りにした。
小泉氏は23日、与那国町の上地常夫町長との会談で、日本は「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している」と指摘。与那国島民をはじめとする国民の命と平和な暮らしを守り抜いていくため、抑止力、対処力を向上させる取り組みを進めていくことが重要だと述べた。
原題:Japan to Deploy Missiles to Island Near Taiwan, Minister Says(抜粋)
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