フランスの衣料ブランド、ラコステが、香港の歴史的建造物である「ペダー・ビルディング」内に旗艦店をオープンする計画だ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、香港のラコステ店舗としては最大となる。新型コロナウイルス禍の規制や政治的混乱を経て小売業の活気を取り戻しつつある香港に、グローバルブランドが再び賭ける動きだ。

取引が非公開であることを理由に匿名を条件に語った関係者らによると、ラコステは月約100万香港ドル(約2000万円)で、床面積5000平方フィート(約465平方メートル)のスペースを賃借した。築100年を超えるペダー・ビルディングは中環(セントラル)地区にあり、不動産王と呼ばれた故ヘンリー・フォック(霍英東)氏の一族が所有している。

ポロシャツなどのワニのロゴで知られるラコステが入居するのは、かつて米カジュアル衣料のアバクロンビー・アンド・フィッチ(アバクロ)が賃借していた4階建て大型店舗の1階。地元メディアによれば、アバクロは月700万香港ドルで借りていたが、2016年ごろに売り上げ低迷で退去し、その後ほぼ10年間空き状態だった。

ラコステはコメント要請にすぐには応じなかった。フォック・イン・トン・グループの副社長でヘンリー・フォック氏の孫にあたるケネス・フォック氏の事務所は、同ビルの賃貸や管理は担当していないと説明。フォック氏はコメントしないとした。

香港経済は回復の兆しを見せている。7-9月(第3四半期)の域内総生産(GDP)は約2年ぶりの高い成長を記録し、全てのエコノミストの予想を上回った。9月の小売売上高は5.9%増加し、14カ月連続の減少に歯止めがかかった。

原題:Lacoste Plans Hong Kong Flagship in Tycoon Family’s Space (1)(抜粋)

--取材協力:Shawna Kwan、Venus Feng.

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