国営ブラジル石油公社(ペトロブラス)は、次期5カ年計画で設備投資額を1060億ドル(約16兆3900億円)に削減する方向で検討している。原油価格への弱気な見通しを反映した動きとなる。

事情に詳しい複数の関係者によれば、協議は進行中で最終的な数値は変更される可能性がある。計画は28日に市場向けに発表される予定で、同社の取締役会による承認が必要となる。非公開情報として関係者は匿名を条件に語った。

ペトロブラスは毎年、5カ年の支出計画を公表している。経営陣が検討している今回の金額は、昨年公表した2025-29年の1110億ドルに比べ4.5%の減少となる。

ペトロブラスは発表資料で、次期計画は依然として検討中で、27日の取締役会で協議される予定としている。

この設備投資計画は、同社が配当を通じた株主への還元を左右することから、投資家の注目を集めている。ペトロブラスは既に今年、原油価格下落を理由に特別配当の実施は難しいとの見方を示している。

ペトロブラスの支出は、ブラジルで政治的にも重要な意味を持つ。同社が連邦政府予算の主要な財源となっていることが背景にある。

ブラジルでは来年、大統領選挙が実施される。ペトロブラスを巡っては選挙前、景気支援や雇用創出に向け投資を拡大するよう圧力が高まりやすい。

同社株は13日のサンパウロ市場で0.9%高となった。シティバンクは顧客向けリポートで、設備投資が縮小する可能性はプラス要因だと分析。投資抑制計画によって、原油安局面で同社は耐性を高め配当支払いの余地を生む可能性があるとした。

現行の支出計画は、原油価格を1バレル=83ドルと想定している。北海ブレント原油は現在63ドル程度で取引されている。関係者によれば、経営陣は26-30年について、60-65ドルのレンジとする方向で検討している。

原題:Petrobras Weighs Lower Spending Plan on Bearish Oil Outlook (2)(抜粋)

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