(ブルームバーグ):14日の東京市場では株式が反落し、日経平均株価の下げ幅は一時1000円を超えた。米連邦準備制度理事会(FRB)の高官から追加利下げに慎重な発言が相次ぎ、リスク回避の動きが強まっている。債券先物は前日終値を挟みもみ合い。円は対ドルでやや軟調に推移する。
米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は13日、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利下げを実施すべきかを判断するには時期尚早と指摘。米セントルイス連銀のムサレム総裁も、インフレ率が当局目標の2%を上回る現状では追加利下げには慎重に臨むべきだとの見解を示した。
市場の金融政策見通しを示すオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は、12月に米利下げが行われる可能性を50%弱織り込んでいる。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは、年明け以降も米国の利下げが続くとの織り込みが進んでいた中、地区連銀総裁の発言で利下げ観測が後退し、「いったんリスク資産は調整」と話している。
株式市場ではソフトバンクグループやアドバンテストなど値がさの半導体・人工知能(AI)関連株が安く、日経平均は一時下落率が2%を超えた。きょうは株価指数オプション11月限の特別清算値(SQ)算出日でもある。
債券相場は先物がもみ合い。米長期金利の上昇(価格は下落)を受けた売りが出ている一方、国内外の株安によるリスク回避の安全資産買いが入っている。先物12月限は5銭安の135円79銭で始まった後、1銭高まで戻した。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、前日に5年債入札を無難に消化した後に債券相場は失速しており、「地合いは良くない」と指摘。新発10年債利回りは直近のピークである1.7%にワンタッチする可能性もあると言う。ただ、米国株が変調を来している兆しも見え、「リスク回避の買いで相場はどこかで切り返す」とも予想していた。
外国為替市場の円相場は対ドルで154円60銭付近と、前日のニューヨーク終値(154円56銭)と比べ0.1%安で推移する。
ふくおかフィナンシャルグループの佐々木融チーフ・ストラテジストは、今年は年初からドルが売られてきたので、年末に向けドルが買い戻されると予測。足元では円買い・ドル売り介入警戒感からドルの上値は抑えられているが、この水準で介入などできるわけはないと市場が確信すれば、155円がドルの底値として定着するとの見方を示す。
--取材協力:グラス美亜.
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.