若い世代で高まる高市内閣の支持率
2025年10月、高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に就任した。
発足当初の高市内閣の支持率は報道各社によって異なるが、軒並み上昇したという点は共通している。
その中でも興味深いのが、若い世代における支持率の高さだ。
たとえば、読売新聞社の世論調査によると、18歳〜39歳の高市内閣への支持率は80%に上り、2025年9月時点の石破内閣の支持率に比べ、65ポイントも上昇した。
その他のメディアによる同様の調査をみても、若い世代の内閣支持率は高い傾向にある。
若い世代の高市内閣への支持率が上昇した背景には、憲政史上初の女性首相や政権が推進する政策に対する期待感などが挙げられるが、見逃せないのは「首相個人への支持・共感の広がり」もあることだ。
高市氏が首相就任会見時に日韓関係について聞かれた際の「韓国のりは大好き、韓国コスメも使っています。韓国ドラマも見ております。」という言葉がSNSで拡散されたり、高市氏が普段使用しているボールペンやカバンなどが注目されている。
こうした動きは若い世代、特に女性を中心に「サナ活」というムーブメントを起こしている。
いわゆる「推し活」現象である。
推し活とは、アイドルやアニメのキャラクター、スポーツ選手など、自分が「推している」対象を応援する活動を指す。
本稿では、「政治における推し活」が若者の政治参加へとつながるのか、その可能性と課題について考察する。
若者の投票率と政治への関心
長年、わが国における若者の政治参加は課題を抱えてきた。
総務省によると、2024年10月に実施された第50回衆議院議員総選挙での投票率は、全体でも53.85%と高い水準ではなかったが、特に10代は39.43%、20代は34.62%となっており、いずれも6割以上が棄権している。
年代別の投票率で最も高い水準の60代は68.02%で、10〜20代との差は40ポイント近くに達している。
つまり、年代によって政治参加に大きな差が生じていることがわかる。
若い世代における低い投票率の背景の一つには、政治への関心も関係しているとみられる。
2025年3月に第一生命経済研究所が全国の18歳~69歳の10,000人に対して実施した調査によると、「政治に関心がある」について「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と回答した合計割合は、18歳~20代が43.3%で、他のどの年代と比べても低かった。
また、男女別にみると、女性は男性よりも政治への関心が低い傾向にある。
18歳〜20代の女性では、「政治に関心がある」について「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と回答した合計が36.3%にとどまっている。
女性を中心に、どのようにして若い世代の政治に対する関心を高めるかが重要なポイントとなる。


