東欧セルビアの首都ベオグラードで11日、学生らが旧ユーゴスラビア軍本部跡地に「トランプタワー」を建設する計画に反対するデモを行った。跡地の建物は1999年の北大西洋条約機構(NATO)による空爆で破壊され、現在も遺構として残されている。

現地メディアのライブ映像では、数千人のデモ参加者が跡地を取り囲んでいる様子が見られた。参加者らは廃墟を文化遺産として保護すべきだと訴えた。

物議を醸している総額5億ドル(約770億円)のトランプタワー建設計画は、トランプ米大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏が率いるアフィニティ・パートナーズが推進している。トランプ政権との関係強化を目指しているセルビアのブチッチ大統領が同計画を支持する中、議会は先週、事業準備を加速させる法案を可決した。

この法律によりプロジェクトは優先扱いとされ、法的障害と都市計画上の規制の問題が解消された。

しかし、文化財保護局顧問で美術保存専門家であるデシミル・タノヴィッチ氏はN1テレビとのインタビューで、「特別法は文化財保護法に反している。文化は市場の一部にはなれず、取引の対象にもならない。国家にはそれを守る責任がある」と批判した。

クシュナー氏のアフィニティ・パートナーズが2024年3月に公表した初期設計案では、175室のホテルと約1500戸の高級マンションを含む少なくとも2棟の高層ビルを建設する計画だ。

セルビアでは、北部ノビサドの鉄道駅の屋根崩落で16人が死亡した事故をきっかけに、1年余り前から学生を中心とする大規模抗議デモが相次いでいる。事故を追及する動きが政治腐敗への批判につながり、国内世論の分断は深まっている。

原題:Trump Tower Plans in Belgrade Draw Thousands in Serbian Protest(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.